第6話 買い物

 昨日より広くなったベッドで絡み合う。

「ああっ、ご主人さま、イ、イクー」

 早速、イッたみたいだ。

 背中から翼とお尻から尻尾が生えている。

 良く見ようと思い、腹這いにさせてみると翼は肩甲骨のあたりから、尻尾は尾てい骨のあたりから生えているのが分かる。

「へー、こうなっているんだ」

 そうこうしているうちにミュが気が付いた。

「あっ、あっ、ご主人さま」

 そのままミュのお尻を持ち上げ、後ろから一緒になる。

「ひ、ひゃー、あー、だめだめ」

 目の前に揺ら揺ら揺れる先っぽがハート型の尻尾を掴まえて、口に咥えて舌で舐めてみる。

「あっあーー、ご主人さま、ダ、ダメです。ああっ、イ、イクー」

「よし、俺もイクぞ、一緒にいこう」

 ミュの中で果てた瞬間、ミュの身体が弛緩し出した。

 ガクガクブルブル震えている。と、その瞬間、股間から暖かいものが。

 どうやら漏らしたらしい。折角、今日買ってきたばかりのマットだったのに。

 どうやら、明日、もう一つ買わなければならないだろう。

 結局、今日もミュのベッドで二人抱き合って寝ることになったが、ミュはなんだか嬉しそうだった。


 昨日より早く目が覚めた俺は相変わらず、ミュの顔を見てみる。うん、やっぱ美人だ。

 2,3日前まで失恋で悩んでいた俺は、いったい何だったんだと思えるほど、しっかりしてきた。

 でも、不安がない訳でもない。この世界で生きていけるだろうか、ミュは今はご主人さまと呼んでくれているが、歳を取ってもそういう関係でいられるのだろうか。

 どうせ一度は諦めた命、ミュに生を吸われるのならそれはそれでありかもしれない。

 そんなことをぼんやり考えていたら、目の前のミュが目を覚ました。

「おはようございます、ご主人さま」

「ああ、おはよう、今日はどうする」

「うーんとじゃ、まずは、ご飯にします、それともします?」

 っておい、昨日と同じじゃねーか、夕べもしただろう。

 窓の隙間から朝の日が差し込んでこないところを見ると、まだ日は出ていないみたいなので、言ってみる。

「じゃ、まずはするか」

「は、はい、ご主人さま」

 俺はまた、精を吸い取られた。


「さて、することしたら、お腹が空いてきたな」

「はい、では朝食にしますね」

 ミュはベッドルームから出て行った。

 リビングのテーブルで、ミュの炒れてくれた紅茶を飲んでいる。

「ミュ、今日は、まずマットを買いに行かないとな」

「そうですね、ごめんなさい、夕べは粗相をしてしまって」

「いや、おかげでミュと近づいて寝ることができて良かったよ」

「本当ですか、ありがとうございます。私も気持ち良かったです」

 ミュさんや、それはさっきの行為の事だろう。

「それで、マットを買った後はどうする」

「そうですね、冒険者ギルドに行って、クエストを見てみましょう、いい依頼があったら受けましょう」

 おお、なんだか異世界になってきた。

「ミュ、俺は武器とかないんだが、武器も買った方がいいんじゃないか」

「えっーと、それには心当たりがありますので、町で買う必要はないと思います。あと、魔物狩りは夕方以降で行きます」

「夕方以降でか?森は遠いのだろう」

「ええっ、夜だと飛んで行っても見つかりにくいし、飛べば直ぐに着きますから問題ありませんよ」

 そういえば、昼は魔法の力が十分出ないと言ってたっけ。

「分かった、ではそのスケジュールで行こうか」


 ミュが昨日の朝食と同じパンとチーズとスープを運んできた。

 ヒモ状態で文句を言うつもりはないが、ここで、パンとチーズとスープ以外見たことがない。

「ミュ、決して不満という訳じゃないんだが、パンとチーズとスープ以外は見たことがないんだが」

「ご主人さま、すみません、ここにはパンとチーズとスープしかないんです」

 これが一般庶民なのか、それとも困窮しているか、困窮しているとしたら、悪い事を言ってしまった。

「いやいや、ここでの普通の暮らしって分からないから、これが普通なのかどうなのか聞いてみただけなんだ、けっしてそういう意味で言った訳じゃないんだ」

「私は生を吸うので、余りお腹が空かないのです、いつも置いてあるのはこれぐらいなんです。

 ご主人さまが一緒に暮して頂けるので、これからはもっと食材を増やします」

「そうか、世話をかけるな、料理はできるのか?」

「えっ、えーと、ちょっとした物なら」

「ミュ、ご主人さまに嘘はつかないよね」

「すみません、できません」

「そうか、でもスープは作れるんだろう」

「えーと、お湯に戻すだけのスープが売っていまして……」

 ええっ、この世界、レトルト食品があるのかい。

「うん、なんでも完璧な人間はいないよ」

 自分にもミュにも言い聞かせるように言ったが、ミュは申し訳なさそうに

「いえ、私は人間でなくて、悪魔です」

 って、普通そこで揚げ足取るかい。


 昨日よりは早い時間にマットを買いにきた。

「いらっしゃ……、あれ?昨日来られた方、今日はどうしました?」

「実は買ったマットがダメになったので、もう一つ買いにきました」

「え、何か問題がありましたか?」

「いえいえ、こちらがちょっとダメにしてしまいまして」

「そうですか、それでは昨日の1割引きでいいですよ」

「それは、ありがとうございます。これから、冒険者ギルドに行くので、帰りに寄りますが、それまで預かって頂いて良いでしょうか?」

「ええ、問題ありません。それでは帰りにお寄り下さい」

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