水色の恋49 翌日ゆうこは塚田に電話を入れ、大阪地検の検事を紹介してくれるよう頼むと、わかりました、松崎検事に電話をしておきますと返事をしたのです、四国に行く、


水色の恋49


翌日ゆうこは塚田に電話を入れ、大阪地検の検事を紹介してくれるよう頼むと、わかりました、松崎検事に電話をしておきますと返事をしたのです、四国に行く、

前に大阪地検に顔を出し、松崎検事に面会を求めると、程なく事務員が現れ検事室に案内したのです、そこには二人の男が待っていたのです、


今回の四国、高松検察庁の担当ですと松崎が名刺を差し出した、もう一人が大阪地検特捜部の主席検事の織田ですと名刺を出し、イスを勧めたのです今回は、

ゆうこさんの告発でいろんな事が分かりました、ありがとうございますと織田が言ったのです、


前回はなぜ途中で捜査を打ち切ったのですか、検察庁長官の山崎が下山の依頼をうけ捜査に圧力をかけたのですかと短刀直入に聞くと、織田がそんな事は、

ありませんよと答えるので、銀行からの高松物産の融資金を調べればリサイクル会社が受け皿だった事は直ぐに分かったはずです、


もつと良く捜査していれば、茂さんと幸子は殺されずにすんだかも知れません、三権分立は絵に描いた餅なんですかとたたみかけると、民主主義による司法権、

です、ゆうこさんの言うとうりにするとなると、戦前の特別高等警察になり、沢山の冤罪が生まれますよとやんわり織田は答えたのです、


もちろんこれは二人を暗に脅かし、次の事を聞きやすくするゆうこの作戦なのです、しかし地方銀行である伊予銀行がよく50億もの金を高松物産に貸し出せた、

もんですねと聞くと、本来は部外者には喋ってはいけないのですが、ゆうこさんは検察の特捜を誤解しているみたいですから、特別にはなしますよといったのです、


あれより二年前、伊予銀行は不良債権処理にてまどり、もう少しで債務超過に陥ろうとしていたのです、地場銀でも大手の方ですから、ここが倒産すると次々と、

金融不安になる為、日銀が特別融資3000億円をおこない、倒産の危機を救われたのです、それから豊富に資金力にものをいわせたのか、二年で完全に立ちなおり、

当時相当の含み資産を持っていたのです、


もつとも頭取は屋敷を含めてほとんどを銀行の為に差し出すのが条件だったらしいのです、後にはほとんど買い戻したそうですがと話しを結んだのです、そうですか、

それで50億も貸付られたんだ、日銀の金利はないようなもんだから、貸付利子がまともに入れば莫大な利益になりますね、多少の危険がともなっても貸し付ける、

はずだわと納得したのです、


塚田刑事からゆうこさんが四国に来ると言っていましたが、何の用でいくのですか、四国で我々の知らない、隠しだまを爆発させるつもりではないでしょうね、

勘弁してくださいよと松崎がいうと、犯人は自供しているそうですから、茂さんと幸子に報告に行くのですよと答えたのです、


帰りに塚田刑事にも会ってきます、今日はありがとうございましたと言って、大阪地検検察特捜部を出て新幹線に乗り岡山に向かったのです、岡山で乗り換え、

瀬戸大橋を渡りJR予讃線の特急に乗り松山へ向かったのです、


松山駅から携帯で尚子に電話を入れると、佐藤が逮捕されたらしいですね、彼が犯人だつたなんてビックリですわと言ったのです、松山に来ているので家に伺って、

てもいいかと聞くと、どうぞ、兄も喜ぶわ、今小山田を迎えにいかせますと言うので、タクシーで行くから結構ですと断り、タクシーに乗り尚子の屋敷に向かった、

のです、


屋敷に着くと尚子が出迎え、日本庭園の茶室に案内したのです、お茶を立て勧めると、ゆうこが躊躇しているので、毒なんて入っていませんよと笑うので、それでは、

と一服のんで、湯のみを置くと、私が何しに来たかは全てお分かりですね、残念ですとゆうこがゆうと、ゆうこさんの事だから、必ずここに来ると思っていましたわ、

全てを知ってしまったのねと悲しい顔をしたのです、


その話は兄が帰って来てからにしましょう、きょうはもう一度この前の場所に案内します、一緒に行ってください、今着替えてきますと奥に行ったのです、

しばらくしてジーパンにTシヤッ姿に着替えてきて、そして肩にリックサックをかかえ二人で山道を登っていったのです、


小高い山の頂上に着き、弁当を出し二人で食べたのです、ゆうこさん今回は恋人は一緒ではないのと聞くので、ええ、何か疲れがでたのか昨日から会社を休んで、

家で寝ているんですよ、私があちこち引き回したから疲れたのだと思いますと答えたのです、


私にも恋人がいたんだけど私のせいで6年前に死んでしまったの、私は罪深い女なのと悲しい顔をして遠くの海を見ていたのです、もしやここに来るのは、

そのせいですかと聞くと、そうなの、そこに小さな石があるでしょう、それが彼なの、この場所が好きで暇があると二人で来て、あの海を眺めていたのよ、


良かったら話してみませんかと言うと、ええと言い話し始めたのです、あれは7年も前の事です、兄が頭取をやっている伊予銀行が不良債権処理にてまどり、

もう少しで倒産寸前まで追い込まれたの、それこそ彼と私に突然不幸が襲い掛かったようなものだったわ、兄も八方手をつくしてお金を集めましたが、

少しのお金ではどうにもならなかったのです、


最後は政府の公的資金に頼るしかなくなったのです、条件は松平家の全財産をその再建の為に投げ出す事でした、もちろん私達は仕方ないと思い覚悟したのです、

その時の財務大臣が下山だったのです、秘書を通じて、私が下山の愛人になれば、家屋敷等の財産は残るようにしてやり、頭取もそのままにしてやるとの事だった、

のです、


断れば兄は銀行を追い出され、財産もなにもなくなり路頭に迷う事になります、毎日兄が苦しんでいるのを見ていられなくなり二三年でいいなら愛人になると、

申し出を受けたのです、下山はこの屋敷にそのまま住んでいられるように手配してくれたのです、それを知った恋人は失望のあまり病気になり、一年後に死んでしまい、


二年後再建出来ると、高松物産への50億の融資を切り出し、バックマージン5億を兄に渡すので、財産を買い戻すようにいい、私との愛人契約を解除したのです、

私達はその条件を飲むしかなかったのです、後は兄が帰ってきてから話しますわといって、さあ降りましょうかと山道を下って屋敷にもどったのです、


温泉に入りましょうと尚子と露天風呂に向かったのです、この前入った谷川の見える露天風呂です、お湯を流し風呂に入るといい気持ちです、ゆうこさんは、

好きな人といられて幸せねと尚子がいうので、尚子さんもまだ若いですから、必ず恋人が出来ますよと言うと、もうおそいのよと呟いたのです、









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