TOPICS ~2018.10

埼玉県にいったい何があるのか

 お久しぶりです。書きたいことも割とあったんですけど、別作品を書いてたりしているうちに半年近く空いてしまったんですね。すみません。

 もはや情報としてはそれほど新しくはないのですが、私なりに感じていることなどを書き留めていこうと思います。



 前作『私書店員~』などでもたびたび触れている「取次」。

 このエッセイを読んでくださっている方にとっては耳にタコかもしれませんが念のため軽く説明させていただきますと、出版物をそれぞれの書店へ配本してくださっている人たちです。


 これまで日本の出版業を支えた影の立役者的にご紹介してきましたけれど、最近この地位が危うくなってきています。


 KADOKAWAさんなど大手出版社を中心に、自前の印刷所を持ち「取次」を介さず各書店に直接納品する、というシステムが本格的に確立されつつあるのです。



 本来なら配本が望めないようなライトノベルでも取次さんにかなり無理を聞いてもらったのは一度や二度ではなく、書店の規模にしてはかなり優遇していただいたと認識しています。


 なので「取次」さんの存在感が縮小しつつある現状は心苦しいのですが……

 書店・出版の業界はかつてなく大きな過渡期を迎えているのでしょう。

 各書店さんも、出版社さんも、そして「取次」さんも――変革を迫られている、ということなのだと思います。



 ところで、この話と関連するかはわからないのですが、KADOKAWAさんに本社を埼玉県所沢市に移す計画があるそうですね。所沢市との共同プロジェクトとしてかなり大掛かりな拠点づくりを目指しているようです。


 なんでいきなり埼玉やねん、という驚きを持たれた方も多いはずです。

 突拍子もない話に見えますが実は埼玉県、出版取次の一大拠点なのです。


 所沢市ではありませんが、取次大手2社の一角・トーハンさんの巨大配送施設である「トーハン桶川SCMセンター」が桶川市に、そして上尾市にも「トーハン上尾センター」があります。


 日本じゅうのありとあらゆる出版物が埼玉の桶川に集められている、といっても過言ではありません。

 1店舗めはトーハンさんのお世話になっていたのですが、関西で働いていた私もこの桶川の物流センターへと本を送っていましたからね。


 そういった意味では埼玉県に一大拠点を置くのもさほど変な話でもないのです。

 埼玉県が出版界・本にとってのある種の「聖地」化するのも、地方創生的な意味合いでも面白いんじゃないかなー……

 なんて思ったりしたのをずっと書きたくてウズウズしていたのですが、やっと形にできてよかったです。

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