第1話 ノンセクシャル 誠司の場合
初めまして。クリスマス、皆様いかがお過ごしでしょうか?
性なる夜という人もいる中で、妙な期待を持たれるのが困るノンセクシャルです。
ちなみに、ノンセクシャルというのは、恋愛感情があっても、性的欲求を持たない人のことを言います。
Aセクシャルの様に無性愛ともまた違うので説明が難しいのですが、クリスマスに因んだ僕の話を聞いてください。
あれは、3年前のクリスマスイヴのことでした。
当時高校2年生だった僕は、気になっていた女の子と付き合って3ヶ月が経ち、サプライズで何をしてあげるべきなのか悩んでいました。
せっかくだから、大胆にホールのケーキと彼女が欲しがっていたピアスでも買ってあげようかと計画を練り、僕の家に彼女を招き入れました。
その時、やけに彼女が薄着で…というより露出度か高い状態だったのを覚えています。
普通なら、俗に言うムラムラだとか悶々とした状態になったのでしょうが、僕は真剣に風邪を引かないかどうかの方が心配でした。
ケーキを食べ、ゲームを僕の部屋ですることになり、僕らは並んで座る形になりました。
やけに彼女が、僕の肩やら太ももやらに手を置いて来たり、もたれ掛かってくる感じがしました。
今ならそれが、彼女なりの誘い方だったんだろうなぁと察しが付くのですが、当時の僕に性欲がない為、彼女のその行動の意味が理解出来なかったんです。
すると、彼女が突然僕の肩を思い切り叩きました。
そして、彼女はこう言ったんです。
「なんで分かんないのよ!男のくせに意気地なし!」
そして、僕が渡したピアスを窓から投げ捨て、荷物を持って走って出て行きました。
それから僕らは気まずくなり、自然消滅になりました。
後々、彼女の友達が彼女に対して、3ヶ月経っても手を出されない(性的な意味で)時は、女として見られていないと伝えていたそうです。
けれど、僕は彼女のことを僕なりに真剣に愛してたつもりでしたし、Aセクシャルと違って彼女に触れたいという気持ちやキスをしたいという気持ちもあったので、多くはないかもしれませんが、スキンシップだってとっていました。
高校生なので、周囲から遅れたくないという気持ちも彼女にあったのかもしれませんが、本当に相手のことが好きなのであれば、相手のセクシャリティも把握しても悪くないんじゃないかと思います。
そして、恋愛は競い合うものではないと思います。
遅いとか早いとか周囲の目を気にして、本当に大事なことを忘れないでください。
手を出されないから愛されてない訳ではないはずです。
逆を言えば、手を出されても愛されない人だっています。
目の前の相手が信じられるような、素敵な一日を過ごせますように。
今日がそんな一日になることを僕は祈ってます。
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