彼氏

「そういえば吉田、お前彼氏いたもんな」

「えっ?あっ……うん」


「なんだよ?その反応」


「えっと、別に?」

「まさか、この街離れたくない理由って、その彼氏と離れるのが寂しかったからとかだったりして?」

「………当たり」


「やっぱりな。吉田、ゼミの時から彼氏大好きだったもんな、僕らには名前も写真も最後まで見せてくれなかったけど」


「だって、恥ずかしかったし……」


「もういいだろ?せめてどこの誰くらい教えてくれてもいいだろ?」

「無理無理‼︎」

「えー、じゃあ、同じゼミの中の誰かだったり?」



「…………」

「当たりか?」


「う……うん」

「そっかぁ、でも僕抜きにして、女子五人は無いとしたら、あとはあの四人の誰かか」

「ちょっと⁉︎特定は無しにしてよ」


「わかったわかった、でもそっかぁ、吉田も可愛いところあるんだな〜」

「――――っ‼︎そっ……あっ……」


「何だよ?いまさら照れることでもないだろ?」

「うん……」


「好きなんだろ?」


「………好き」


「ならいいじゃん、この街で幸せになれば」


「じゃあ、ゆうき……」

「よし、こんなとこ彼氏に見られたら怒られるな、久しぶりに楽しかった。ありがとう」


「ちょっ、ちょっと⁉︎待って?」


「なんだよ?」

「いや、その、彼氏……なんだけどさ」

「うん?」

「最近その……あんまり会えてなくて」


「それで?」

「上手くいってないの、だから」

「それは大変だな」


「また、相談したいから、連絡先の交換しよ?」


「ああ、そういえばまだしてなかったな、あははは」

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