「……ほんとにこんなとこで良かったのか？」

「うん」

「なら、いいんだけど……ってか、『ゲスと……』って名前なんだよ、なんで店名に含み持たせてんだよ？」

「細かいことは気にするな、それより、私、ここの『☆店長inハンバーグ☆』すきなんだ〜」

「恐ろしいハンバーグだな……絶対☆のつくようなものじゃないだろ？店長入ってるんだぞ？」

「味は普通だったし、大丈夫じゃない？」

「……僕はこれにしようかな、鉄板に鶏肉が乗ってる一番見た目がシンプルなやつ、」

「あっ、それは『☆チョップド店長☆〜春の風になって〜』それを頼むとは、なかなかいいセンスしてるじゃん」

「……そんな名前なのか、これ……ってか、最後の"なって"って、それなれってことだろ？よく見ると『店長』の字の上に『チキン』って書いてあるし……いじめられてんのか？店長」

「たしか……一年くらい前に、バイトのjkにセクハラしたんだって、ニュースにもなってたよ？それで公開処刑中なんだと」

「普通にクビにしてやれよ……」

「いいんじゃね？味はそこそこだし、意外と繁盛してるっぽいし？」

「……それ絶対来る客もロクなやつらじゃないだろ？」

「被害に遭ったやつの親戚とか、知り合いが溜まり場にしてるんだって……私の親戚の友達がその子の友達だから、私も来るようになった」

「……恐ろしい事態になっている……店長のことが心配になってきたわ」

「店長なら……ほら、あれだよ、レジ打ってるやつ、割と元気にやってるみたい」

「……普通におじさんだな……物凄いやつれた顔してる以外は……あんな深刻な顔で、絞り出すような笑顔でお金受け取るやつ初めて見たわ」

「事件以来、レジ打ちしかさせてもらえなくなったらしい」

「……絶対客と顔合わせて話しなあかんやつやん、これ考えたやつ鬼畜すぎるだろ」

「あっあった、」

「こんどは何が？」

「これ……」

「……呼び鈴？……おい『店長』って書いてあるぞ？まさか……」

「呼び鈴鳴らすと店長がくるんだ、そんな話したいなら呼んでみたら？」

「お、おい――――⁉︎」

〜後半に続く〜

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