ゆずはちみつ

カゲトモ

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 今年のクリスマスはホワイトクリスマスになるかもしれないと、今朝の天気予報で言っていた。年内に雪が降ることは多々あるが、タイミングよくクリスマスに降るなんてことはあんまり経験がない。

 と言っても別にどうでもいいのだが。ってか売上下がるし、出来れば今日みたいに暖かいクリスマスになって欲しいな、なんて。

 ロマンがないか。どうせアラサーのおっさんですから。

「うわっ!?」

「こんにちは」

「びっくりした」

 突然現れた巨体につい、一歩後ずさる。元ラガーマンのマッチョな巨体はさながらヌリカベのようだ。なんてね。

「驚かさないで下さいよ、熊谷さん」

「すみません、脅かせるつもりはなかったんですけど」

 しゅん、と申し訳なさそうに項垂れる熊谷さん。いやいや、音もなく近づいてきて急に視界に現れたら誰だって驚くでしょうよ。

「どうしたんですか、こんな時間に」

 時計はまだ昼過ぎを差している。丁度ランチタイムとカフェタイムが重なっていて忙しい時間だろうに。

「今日はバイトさんが入ってくれているので」

「そう、なんですね」

「花菱さんを待っていました」

 だと思いました。

 熊谷さんは商店街にある、ナチュラルテイストなカフェの店長だ。オーガニックのものしか使わない本格派で、ドライフルーツのパウンドケーキとカフェラテが有名な店。

 で、俺は少し前に熊谷さんに拉致、いや連行、いや店に連れて来られて相談されていた。

「あれからどうなりました?」

「えっと、その」

 戸惑ったようにきょろきょろする熊谷さんは、いくら暖かいと言っても気温が低いのに、薄目のダウン一枚しか着ていない。俺なんてマフラーまできっちり巻いているというのに。やっぱり鍛えていると体温高いんだろうか?

「どうしました?」

「あの、すみません。図々しいお願いを」

 ここではちょっと、と熊谷さんが可愛らしく(本当になんか仕草が乙女チック)言うもんだから、もちろん俺の店へと案内した。

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