チェスト!幕末坂高校剣道部

純太

第1話 プロローグ

「7時のニュースです。まずは、今日未明、岐阜県の山中で乗員乗客あわせて28名を乗せた高速バスが谷に転落し、多数の怪我人が出ている事故の続報です。運転手2名と乗客のうち21名はすでに救助されていますが、依然として5名の乗客がの行方が分かっていません。現場につないでみましょう。現場の井原さん」


「はい。井原です。現場では、警察と自衛隊による懸命な捜索が続いています。ここまでに確認されている情報によりますと、行方不明となっているのは、てんどうごうさん、ぶきりょうすけさん、あさむらさきさん、さなしゅういちさん、おおぞのさんの5人で、いずれも東京都の私立桜坂高校剣道部に所属。京都府で行われていた全国高等学校剣道大会に出場した帰りだったということです」


「5人の発見のはいまだ立っていない状況でしょうか?」


「そうですね……。これまでに救助された21人は、いずれもバスの落下地点から離れていない場所で発見されています。行方不明となっている5人は、そこからさらに谷底へと落ちた可能性が高いと見て、捜索が続けられているところです」


「分かりました。また情報が入りましたら伝えてください。……えー、繰り返しお伝えします。岐阜県の山中で高速バスが谷に転落し、多数の怪我人が出ている事故で、行方不明となっているのは、天童豪太さん、伊吹涼介さん、浅村咲さん、真田秀一さん、大園美羽さん。5名はいずれも東京都の桜坂高校の剣道部員で……」


 ***


 このニュースを見た誰もが5人の安否を悲観的に予想した。事故から15時間も経過している。あれほどの高さから転落して、生きてはいないだろう、と。


 ところが、5人は生きていた。それどころか、怪我一つしていなかった。


 しかし「この世」にもいなかった。


 5人は幕末の京にタイプスリップしていたのである。

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