十年の差を開け君に恋する

緋色

第1話赤い糸

「ねぇ。今日も見てくれる?」

私は、赤木あかぎ はる12歳

運命の赤い糸が見える。

学校では、【恋愛の神様の子孫】とか呼ばれているけど、私の運命の人は分からない。

だって、私の赤い糸はピンと張ったまま、遠いどこかへ続いている。

「うん。じゃあ、校内を歩こうか」

私がやるのは、頼んできた子と、校内を歩き、赤い糸が誰と繋がっているか見るだけ。

「やっぱり、愛ちゃんの運命の人は翔くんだよ」

「うーん…やっぱ、他につながってない?」

「うん」

運命の糸は一人に1本。このルールは絶対。

こんな感じで毎日誰かの(ほぼ小6女子)運命の人を探してる。ちなみに、運命の人に告白した女子はみんな成功している。


ゴールデンウィークに九州に旅行に行くことになった。私の赤い糸は、そっちの方角に向いていた。

~熊本~

熊本の空港に着いた。いろんなお土産屋さんがあった。

うわぁ…どうしよう、目移りしちゃう…

と、呑気のんきに考え、欲しいものが見つかった。

これ、買おう…

「ねぇ。お父さん、お母さ…ん?」

振り返るとお父さんとお母さんはいなかった。

「うそ…お母さん!お父さん!」

小6にもなって恥ずかしい話だけど、一人が嫌だった。私は人混みの中必死に探す。

「お父さん!お母さん!どこ?!」

周りから『迷子かしら?』とか『可哀想かわいそうに…』と聞こえる。心配しといて助けない。これだから他人は嫌だった。

「お父さん…お母さん……ぐすっ」

見つからないとさっした瞬間しゅんかん私は立ち止まり泣きじゃくった。すると、

「大丈夫?」

と、優しく話しかけてくれた男の人がいた。

見た感じ、10コ上の22歳ぐらいだろうか。

私は目の前の光景に違和感を感じ、不思議に思う。そして、違和感の正体に気づき、おどろく。私の赤い糸はたくさんたるみ、男の人の小指に繋がっていた。

つまり、この男の人は

私の『運命の人』なのだ。

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