第57話 アイカの落胆(その二)(32)

 また、その様子が? アイカの横で、王の如く建ち並ぶウォンは、可笑しくて仕方がない。


 だから彼は先程から上機嫌──『ククク~』と、苦笑しながら。アイカと健太の様子を、自身の瞳を交互に動かしながら見詰め──。上機嫌なのだ。


 でッ、先程、健太とシンとの相撲試合を、女王アイカへとやめくれと嘆願をしたシルフィーはと言うと?


 先程からの通りで、自身の両手で顔を押さえながら、声を出さないように泣いている状態なのだ。


 またウォンは、それも嬉しくて仕方がない。


 だって一度自分の物にしたと思ったエルフの女なのだが。自分の手許から逃げられてしまったのだからね~。


 特に丞相のシルフィーを手に入れた男性(もの)は勝者の証──。


 そして、この国の王の証なのだよ。


 だからどうしてもウォンは、アイカだけではなく。シルフィーも我が物したくて堪らないのだよ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る