第36話 他国からの訪問者

「一体何をしていんだい。あんた達?」と。


隊列の一番後ろの女性へと、声をかける多の国の女王ライ──。


この辺りの小国や領主、族長達から、【雷神ライ】と、恐れられている多の国の女王ライなのだが。


相変わらず、自身の瞳を輝かせながら興味津々に最後尾を歩く、未だ幼さも残るオーク種族の少女へと問うのだよ。


すると少女は、自身の首を傾げながら。


今更何で自分自身に対して、そんな事を問いかけてくるのだ? と、でも言いたい。


告げたい顔と声色でね。


「私達の旦那様に下着や衣服を洗ってもらう為についていっているんでしょうに。何で今更貴女は私に対して、そんな事を聞いてくるの?」


多の国の女王ライに尋ねられた、問われた少女は、大変に不機嫌極まりないと言うか?


今更何で自分に対して、ごく当たり前の事を問うのか? と、言わんばかりの顔で、ライへと告げてくる。


だからライは、「ごめん、ごめん。悪かったよ」と。


「あっ、ははっ」と、少女に笑って誤魔化しながら一度隊列から離れて歩き始めるのだ。


それも「うぅ~ん、うぅ~ん」と、唸り声──。


(この達は皆、この列の最前列にいる他種族の少年の妻のようだけれど。先頭を歩く少年は、一体何者なのだろうか?)と。


ライは思うのだ。


だから彼女は、考える人へと変わりながら歩行を続ける。


でも考える、思案を続けても、意味が余りないようだから、取り敢えずライは、思案をするのは辞めて、最前列へと早足で向かってみる事にしたのだった。


最前列の戦闘を歩く少年がどんな顔、容姿をしているのか、確認をする為にね。



◇◇◇







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