第11話 男王になれなかった漢の邪な策(3)

「おーい。男王よ? そんなに格闘相撲を見て面白いか?」と。


男性の声音、というか? 元女王アイカの彼氏、婚約者、夫だった可能性もある男。ウォンの声が聞こえてくる。


それも、自分ではなく。男王になった健太を呼ぶ声と台詞が聞こえてくる。そんなにも格闘相撲の練習試合を観戦して面白いのかと?


「はい。面白いです。ウォンさん。僕の産まれた世界、国にも相撲はありますが。こんなにも激しく。男性同士が争うことはないので。本当に見ていてハラハラ、ドキドキしますよ」と。


健太はウォンの問いかけに対して、このように答えるのだ。

まさか彼が、ウォンが自身を陥れ、亡き者にしようと策を練る。画策をしているとは、健太自身も思わないのだ。


それに、この時点では、健太はウォンが、女王アイカ。自身の元カレ、婚約者、夫だったかも知れない男であり。自分自身のライバルだとも知らない。気がついてもない。


自分自身の妻、妃の従兄ぐらいしか安易に思ってもいないので、ウォンのことを注意深く観察をすることもなく。己の気を許し、はしゃいでみせるのだ。


ウォンだけではなく。只今オーク種族の格闘相撲の練習試合を観戦している。此の国の国民、エリエ集落に住む、漢戦士やアマゾネス達の前で歓喜──! 


歓喜しながら観戦──。声援の方も。


「お互いがんばれ! 負けるな!」、


「そこだ! そこ!」、


「……よぅし! がんばれ! がんばれ! 二人とも!」、

「頑張ってください!」と。


健太は、ウォンに声をかけられたことすら忘れてしまうほど。





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