7 狼の信託

「なんでこんなことした?!答えろ!」

分かっていた怒りを彼らに振りかざす。二人は首をうなだれさした。

「なんで分かった?」

西川は唇をかみしめ、言う。勝負はニセ透の負けだった。

「透が祐希より弱いと思ったの?」

あえて、静かな声で話す。二人は無言で頷いた。

「ふざけんな!透が祐希より弱いわけないだろ!!確かに祐希は強い。お前に勝ったくらいだからな。でもなよく聞け、レベルが違うんだよ。透はあいつが自分で思っているよりもずっと強い。それに、私達の前で嘘は通用しないって岡村から聞いてなかったか?なめんな!何考えてんだ」

腹の底から気持ちの悪い感覚が這い上がってくる。視線を逸らし、西川は声を震わせながら話す。

「岡村は自分のしたことを隠すため、死亡者リストから如月陸の名を消し、その事件に関わる者を逮捕させるため、そそのかし、殺人をさせていました。それはこの組織に圧力を…」

「それで、一番弱い八軍の子達を」

零は声を低くした。小百合の顔がフラッシュバックする。命乞いするような目を見て、首をポキポキ鳴らした。刀を一気に抜き、頸動脈を切り、血を拭い、丁寧に鞘に納めた。月夜に血が舞う。それは、とても美しく、冷たい目は冬の夜を一気に取り込んだ。


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