7 狼の信託
「なんでこんなことした?!答えろ!」
分かっていた怒りを彼らに振りかざす。二人は首をうなだれさした。
「なんで分かった?」
西川は唇をかみしめ、言う。勝負はニセ透の負けだった。
「透が祐希より弱いと思ったの?」
あえて、静かな声で話す。二人は無言で頷いた。
「ふざけんな!透が祐希より弱いわけないだろ!!確かに祐希は強い。お前に勝ったくらいだからな。でもなよく聞け、レベルが違うんだよ。透はあいつが自分で思っているよりもずっと強い。それに、私達の前で嘘は通用しないって岡村から聞いてなかったか?なめんな!何考えてんだ」
腹の底から気持ちの悪い感覚が這い上がってくる。視線を逸らし、西川は声を震わせながら話す。
「岡村は自分のしたことを隠すため、死亡者リストから如月陸の名を消し、その事件に関わる者を逮捕させるため、そそのかし、殺人をさせていました。それはこの組織に圧力を…」
「それで、一番弱い八軍の子達を」
零は声を低くした。小百合の顔がフラッシュバックする。命乞いするような目を見て、首をポキポキ鳴らした。刀を一気に抜き、頸動脈を切り、血を拭い、丁寧に鞘に納めた。月夜に血が舞う。それは、とても美しく、冷たい目は冬の夜を一気に取り込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます