3 狼の本性
「置いてかれた……」
車が走り去るのを見て、祐希は肩を落とす。すると、玄関の戸が開いた。
「あら、あなた」
「置いていかれました」
肩をすくめると女性はふふっと微笑んだ。祐希も笑顔を絶やさないまま話す。
「いやぁ、あなたの家から面白いものが出てきましてね」
女性は目を丸くし、首を傾げた。祐希はポケットから袋を取り出した。それを見た女性の顔が硬直する。
「それっ!」
「まさか、薬が出てくるなんて。そこには大麻が栽培されていますね」
女性はそれに手を伸ばす。祐希はサラリとかわすと、女性を押し込み、戸を閉めた。
「大人しくして下さい」
その威圧に女性の口元が震えた。目は乾き、呼吸が荒くなる。一方祐希は飄々とした様子で笑った。女性の口が何でと表す。すると、祐希は鼻を指した。女性は首を傾げる。
「俺、鼻がいいんです。あなたの家の嘘の匂いと大麻、覚醒剤の匂いが混じって気分が悪くなった。そういうことです」
祐希は目を細める。女性の意識は保つことを忘れ、遠のいた。
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