最後のキス

君が隣りで、洗い物をしている。

狭いキッチンだから、君は僕を邪魔だと言うけれど。

絶対に追い払うことはしないと知っている。

うなじの見えるこの角度が、僕は一番好きだ。

キッチンにいる君は特別、美しく見える。

だから少し手を止めて、こっちにおいでよ。

そっと頬に唇を寄せる。

“こんなところで…”と君は膨れるけど。

今、この瞬間に大地震が来て。

これが最後のキスになるかもしれないだろう?

頬を赤らめて、優しく頷く君に、心からのキスをする。

“ばか……”

小さく呟かれた言葉がいとおしい。

そう、だから何度でも。

君に最後のキスを………

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