Little Lovers
あいつが我が家にやってきた。
そのときから、王子だった僕の立場は一変して、姫を守る騎士(ナイト)になった。
『にぃに』
…全く、面白くない事態だ。
世界は僕を中心に回っていたというのに。
『にぃに』
あいつのせいで、パパもママも僕のことは見向きもしない。
『にぃに』
姫だかなんだか知らないが、僕のパパとママなんだぞ?
後ろをついてくるあいつは、満面の笑みを浮かべて、僕のことを呼ぶ。
掴まれた手を振り払ったら、転んで泣いた。
けど、その数秒後にはケロッとしてまたよちよちついてくる。
その小さな足が、手が、笑顔が、うざったくて憎らしくて。
でも………
『にぃに』
掴まれた手があったかい。
小さい指は柔らかい。
目が合うと、にかっと笑った。
『あそぼ』
……仕方ないんだ。
こいつの手はこんなにちっちゃくて。
パパとママと僕が守ってやらなきゃいけないんだ。
こんなにふにゃふにゃで。
なんかあったら壊れちゃうんだ、きっと。
「いいよ」
ついに観念した僕に、あいつはまたにかっと笑いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます