Little Lovers

あいつが我が家にやってきた。

そのときから、王子だった僕の立場は一変して、姫を守る騎士(ナイト)になった。



『にぃに』


…全く、面白くない事態だ。

世界は僕を中心に回っていたというのに。


『にぃに』


あいつのせいで、パパもママも僕のことは見向きもしない。


『にぃに』


姫だかなんだか知らないが、僕のパパとママなんだぞ?



後ろをついてくるあいつは、満面の笑みを浮かべて、僕のことを呼ぶ。

掴まれた手を振り払ったら、転んで泣いた。

けど、その数秒後にはケロッとしてまたよちよちついてくる。



その小さな足が、手が、笑顔が、うざったくて憎らしくて。


でも………



『にぃに』



掴まれた手があったかい。

小さい指は柔らかい。

目が合うと、にかっと笑った。



『あそぼ』



……仕方ないんだ。

こいつの手はこんなにちっちゃくて。

パパとママと僕が守ってやらなきゃいけないんだ。

こんなにふにゃふにゃで。

なんかあったら壊れちゃうんだ、きっと。




「いいよ」



ついに観念した僕に、あいつはまたにかっと笑いかけた。

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