sideB

バカかお前は…


そう言ってすぐに不機嫌になる横顔が怖かった。


笑ってほしい。

あたしに笑いかけてほしい。

離れられない。

逃げられない。


そんな奪い合いじゃなくて…


あたしはもっと、あなたと愛し合いたい。



いつからか、心はすれ違って。

いつからか距離は遠くなって。

気づいたら、埋められない溝になってた。


愛されていたい。

ただそれだけなのに。

あなたも。

あたしも。


噛み合わない苛立ちを、あなたは隠せない。

あなたの苛立ちを、あたしは受け止められない。


隣りにいることがこんなにも心細い。

あたしは、心細い。


あなたに許していて欲しかった。

あたしの弱さを。

愛したかった。

あなたのすべてを。


知っていたはずなのに。

分かっていたはずなのに。

どうにもならなかった…


どうにもならないと諦めた。



溢れた心は、もう元に戻らない。

二人の間を漂流して、いつか別などこかへたどり着くまで。


大好きだったあなたと繋ぐ右手が、今はただ苦しい。

手放したら楽になれるの?

そんなことをぐるぐると考えて、一緒に歩くの…


あたしはもう疲れたよ。

この距離を、この気持ちを抱えてもう歩けない。



あなたにさよならを

あたしが言うとは思わなかった。

もっと一緒に笑えればよかった。



ごめんね。

あなたがあたしにくれたモノは、大切な宝物だから。


ありがとう。

今度出会えるときには、笑顔でそう言いたいから。


さよなら。

あなたのすべてを、あたしは忘れないよ。

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