第75話ご褒美

 メグミ達は家に帰って来た。結構遅い時間になってしまっていたが、まだ酒場などは賑やかに営業していたし、月明かりでそれほど夜道が暗くて困るっということもなかった。それに今回は『ママ』という保護者同伴で、一応タツオと言うナイトもエスコートしてくれている。しかもメグミ、ノリコ、サアヤ、アカリ、カグヤと大人数だ、襲ってくる不審者など居ようはずもなく順調に家に辿り着いた。

 メグミは家に帰ろうとベットから起き上がって気が付いたが服を着替えさせられていた、来ていた服は既にゴミと化していたとの事で処分済みであるそうだ、


「せめて雑巾ぞうきん位にならなかったの?」


 そう言う貧乏性のメグミに『ママ』が、


「無理ね、あれでは切断して小さく破砕して、しかも血だらけだから洗ってからでないと使えない、クッション材変わりが関の山よ、そこまでする程の物ではないでしょ?」


そう告げる、短い命だった、実質新品を下ろして一日着ていない、服に悪いことをしたと、そう思うメグミであるが仕方がない。

 そうそう、メグミの着替えさせられた服は、タツオが昨日服を買ってくれた服屋の服で、普段のメグミの来ている服より、可成り上等だった、と言うか昨日タツオと選んだ5着の内のメグミが少し迷った方の服だった、カーキ色のあっさりとしたワイドパンツに、白色の首元の開いた袖が緩めのシャツだ、レースがさり気無く配されたデザインでとても可愛い、それにパンツと同色のこちらも一部透けてレースになっているカーディガンを羽織って。編み上げのヒールのあるサンダルと合わせている、動きやすそうで、それでいて押さえたオシャレな感じが気に入っていた。タツオのスカート押しに負けて昨日の服に決めたが、メグミ一人ならこっちを選んだだろう、そう言う服だった。

 しかも下着まで着替えさせられており、あの店の高そうなオシャレな物であった、妙に着心地が良いので、首元から覗き込んだら、朝着ていた下着と違ったから聞いたら一緒に買ってきたそうだ。まあ確認の際、首元の服を何気なく引いて胸元を確認したら、大慌てでタツオが目を逸らし、『ママ』に頭を叩かれた。元の下着は服と運命を共にしたそうだ。脱げてなかったのが奇跡な状態だったらしい。こちらは少しサイズが小さくなっていたので、そろそろ変え時だったかもしれない。しかしまだショーツは着れるのではないか? と思うメグミは自分の貧乏性が少し嫌になる。

 そんな珍しくオシャレな服は、割とこの短い髪型にもあっているようで、皆がその姿を褒めてくれた、まあ、髪の件もあって、お世辞が半分以上だろうと思うが褒められて悪い気はしないので、タツオに服のお礼を言うと、買ってきたのはタツオなのだが代金はプリムラが払ったとタツオが言うのでプリムラにもお礼をいう。


「まあ、僕はこれ位しかできないからね、昨日と今日と、随分厳しいことを言ったからね、これ位ではお詫びにはならないだろうけど、機嫌を直してくれると僕も嬉しいかな」


微笑んでそう告げるので、思わずプリムラに抱き着いて、もう一度お礼を言っておいた、その時、お尻に手がいったのは偶然だ、しかし何だか今日寝ながら見た夢の中でも触ったような感触だと思っていると、


「君は本当に何時でもそうなんだねえ、覚えていないだろうけど、君、ココに運ぶまでの間ずっと僕のお尻を撫でていたんだよ」


どうやら夢でなく実際に撫でていたらしい、その感触が夢で再現されていたのだろう、そのことをプリムラに伝えると、大笑いされた。


 そんなこんなで家に着くと『ママ』が手早く料理を作ってくれた、作り置きの野菜スープと、夕飯用にとって置いたパン、それにソーセージとサラダが付いてと短時間でこれだけ揃うのは流石『ママ』である。それをずいぶん遅い夕食であるが皆でダイニングで楽しく食べた。

 その後、軽くシャワーを浴びる、一度冒険者組合で着替えの前に体を『洗浄』魔法で清めていたらしく、あまり不快感は無かったのだが、寝間着に着替えるので序でついである。その時気が付いたが、短い髪、これも結構いいものである、一瞬で髪が渇くのだ、タオルで良く水分を拭きとってドライヤーを軽く当てるともう乾いている。人の髪の毛を弄るのは大好きだが、自分のはめんどくさいメグミは、何事にもメリットとデメリットがあると改めて思い知る。意外なメリットに少しうれしくなったメグミは脱衣所で真っ先に着替え終わり、女性陣にお休みの挨拶をして一足先に自分の部屋に上がる。

 日中によく寝た所為かあまり眠くは無かったが、何となく気だけが疲れていた、そう言えば昨晩は色々興奮してあまり寝てなかったことを思い出す、今の自分は良く寝て、目の下のクマも消えている。その時メグミは理解した、自分は単に寝不足で良く寝ていただけであったのだと、まあ『魔神』等の回復の疲れや戦闘の疲れも多少はあったのだろう、しかしメインは単なる寝不足、皆が心配して見守る中、自分は単に寝不足でその為に寝ていただけと言う事実……大変気まずい、いやなんか穴が有ったら入りたい気分だ。


(黙っていればバレないよね? 平気だよね? 馬鹿正直に告げなくても良いよね?)


 今度ヤヨイ様かアイ様に懺悔に行こうと心に決めて自分の部屋の扉を開ける。その部屋には何か違和感がある、ふと通信演算魔法球の乗った机を見ると、机の上にA4位の用紙が置いてあり、何やらメモが書かれている、そこで違和感の正体に気が付いた、メグミは机に歩み寄ると、椅子に座ってその用紙手に取りながら通信演算魔法球を起動する。

 その用紙には通信演算魔法球内のアキ達の触手攻めのデータの消去、オリジナルのデータの入っていた魔法球の処分、また他にも無いか部屋中を探した事へのお詫び、その他のデータには手を出していない事などが事細かに記されている、そのリストに書いてある内容を確認すると、通信演算魔法球内のデータはダミーを含めて全て発見消去されている、メグミの記憶とも一致していて、一切の見落としが無い、流石である。『カナ』の製作データには問題が無い事を確認しているとナツオからメールが入っていた、無事の喜ぶ旨と心配、そして怪我の経過などを気にした文章と、


「此方のあの記録魔法球は2つとも、アキに回収されてしまったよ、事件で有耶無耶になるかと思ったが甘かったらしい、申し訳ない、そちらのデータも恐らく全滅だろうね、仕方ない今回は諦めよう、あとアンチウイルスソフトをそちらに送るよ、有志が定期的に更新しているものだ、入れておいた方が良い」


 そんな内容が書かれていた、ナツオの方も全滅しているみたいだ、更に確認の為、引き出しのロックを外そうとすると既に外れている、まあそうだろう開いたのなら外れていて当然である。中を見るとその他の記録魔法球はそのままだが、オリジナルデータの入った物だけが抜き取られていた、この数の記録魔法球を全部調べたのだろうか? そう用紙のリストにも書いてある。間違いはないのだろう、凄い執念だ。

 用紙には部屋中を『魔力探知』で念入りに捜索したこと、その場所も克明に書いてある。随分丹念に捜索されていた。その後、部屋を整えたのだろう、メグミが朝この部屋を後にした時よりも綺麗に整えられている、恐らくこれが違和感の正体だ。

 一通りの通信演算魔法球内のデータの確認とアンチウイルスソフトの導入を済ませたメグミは立ち上がり、クローゼットに近寄る。ドアを開けると中を確認する、此処ここも整頓されていた、まあ用紙にも探索したことが書かれている、当然だろう。

 メグミはクローゼットのドアの裏側をみる、このクローゼットにも鍵がかかるようになっているがメグミは使ったことが無い、そのロックするための魔法球が埋まっている部分の裏側の金具をメグミは手早く外して、ロックするための魔法球を外す。これは引き出し等にも付いている一般的なものだ、部屋の扉や窓など、至る所に設置されている。当然魔法球なので『魔力探知』にも掛かる、だが一々ロックの魔法球を調べるだろうか? メグミは考えた、


(隠すからバレるのだ、最初からそこに堂々とあればバレないのではないか?)


 クローゼットの鍵の為の魔法球は表から見えている、当然だ、操作しなければならない、だが果たして何人の人がクローゼットの鍵を閉めているだろう? ついてはいても使用したことが無い人が大半ではないか? 事実メグミは日本に居たときから鍵は付いていても使ったことが無かった、ノリコの部屋でノリコの服など選ぶ際に開けたときにも掛かってなかった、サアヤの部屋でもそうだ。

 自宅のよく使うクローゼットの鍵を掛ける人間がどれほどいるのだろう? 掛かってなくても不自然じゃない鍵、そしてそこに当然のように付けられている魔法球、調べるだろうか? 用紙には何も書かれていない。

 メグミはそのロックの魔法球を通信演算魔法球にセットする、一応不審な動きを見逃さないようにプロセスを全て表示している、アンチウイルスでスキャンも済んでいる。問題がないことを確認してその魔法球の情報を読み取り、ニヤリっとメグミは笑う、そして手早く魔法球を外すとクローゼットに行き元に戻す。木を隠すなら森の中、そこに当然ある物は疑わない、気が付かない、見逃してしまう。


(今夜はいい夢が見れそうね、さて、いつナツオさん伝えるかな? 暫くは警戒されて居るだろし、少し期間を空けるかな……)


そうしてメグミはベットに倒れ込んで、そのまま寝転がりニヤニヤ笑いながら、もうすっかり見慣れた自分の部屋の天井を見上げる。



 翌朝、日課とバイトを何時もどおり済ませ、朝食を食べたメグミはリビングで寛いでいた、日課のトレーニングでは、やはり何も違和感は無かった、通常通り右腕は動く。その他、体の動きも変なところは無い、まあ本格的には迷宮で魔物相手に戦闘をして確かめるしかないだろう、戦闘状態でなにか変化が有るかもしれない、念には念を入れよう、そうメグミは決心する。

 バイトでは髪の短くなったメグミは随分と心配された、昨日の事件はニュースで報道されたらしく、細かい説明は不要で有ったが、リズに泣かれ、ジェシカにも泣かれ、サンディには抱きしめられて泣かれて、危うく窒息死しそうになった。

 今メグミは一房の銀髪を如何するか悩んでいた、自分はこのままでもアクセントになって面白い気がするのだが、ノリコとサアヤは染めてはどうかと言ってくる、アカリもどうやらそちら側で、カグヤはそのままでも最高に可愛いと言っているがこの意見は無視だ、カグヤなら多分メグミの髪がパッションピンクになっても可愛いと言ってくる気がする当てにならない。『ママ』はメグミに任せると良い、タツオも自分はよくわからんので好きにしろ派だ、メグミは別にどちらでも良いのだが、染めるのが面倒なのだ、一度染めると常に染めないとダメだし、髪が痛む、折角短くなったのだ、これから生えて来る髪は綺麗な状態で保ちたい。

 メグミがこのままでいこうと結論を出すと、同時に家の玄関を叩く音がする。前回同様にアカリが率先して玄関にお客の確認に行く、そう言えば二人は何時頃引っ越して来るのだろう? そんなことをメグミが思っていると、アツヒトにナツオがアカリに連れられてリビングに入ってくる。

 『ママ』から御茶が振舞われ、全員がリビングの席に着くとアツヒトが喋り始める、


「昨日は大変な目に合わせてすまない。本当に如何どうお詫びしたらいいのかわからない、申し訳ない」


そう頭を下げてくる、横のナツオも同じく頭を下げる、


「別にアツヒトさん達の所為じゃないでしょ? あれは、あの敵のおっさんが悪いんだし、アツヒトさん達が頭を下げるのはおかしいと思うんだけど?」


「いや、あの様な事態を招いたのは僕の責任だ、それにね……ああ、そうだ、先に経過報告を兼ねて判明したことを話そう、奴らのアジトを見つけた、本当に油断としか言いようがない、灯台元暗しだ、奴らこの街の郊外に拠点を造ってそこから襲撃してきていた。

 この街には温水プールが有るんだけどね、結構な人気になっている、そこで街の郊外に大きな温水プールが新たに建設されていたんだが、そこが丸々敵の隠れ蓑に利用されていた。建設途中のその施設の中であれらのゴーレムが組み立てられて、今回の事件に使用されていた、温水プールだからね、基礎はシッカリしてるし、頑丈な空のプールだ、ゴーレムの重量位何でもない、建設機材や、その他の資材に紛れ込ませれば、物資の搬入もゴーレムの部品の搬入も何も怪しまれることは無い、人も同じだ、建設作業員、技術作業員、まあ幾ら出入りしても誰にも怪しまれない。全く、忌々しい、奴ら堂々と、この街に拠点を築いていた、そこから転移魔法で迷宮やこの街に送り込んでいたんだ、街の様子も直ぐに分かる偵察し放題だろう、なにせこの街に住んでいるんだからね」


「捕らえられたのですか?」


「そこも前回と一緒でね、奴ら、ある程度の機材は捨てて、逃走していた、既に無関係な一般の作業員しか居なかったよ、ダミーとして雇われてたみたいだね、残された機材なんかも調べたが、一番重要なところだけは持ちだされていた、ゴーレムや使用していた機器のある程度の情報は掴んだが、肝心の奴らの別拠点、組織構成、連絡手段などの情報が無い。

 後手後手だよ、全く恥ずかしい、だからこそだ、自分の任されている街の、足元で蠢いている敵さえ見逃していた、如何どうお詫びして良いのかわからない、本当にすまない、そして又、敵を逃がしてしまった。本当に自分が情けない」


「けどね残された機器、資料は可成り貴重なものもあったんだよ、可成り財政的には奴らにダメージは与えている、暫くは大きな動きは出来ないはずだ、あれだけのゴーレムを二体も失っているからね、それにあの地下1階の階層主の部屋のゴーレムは入手した資料のおかげで無傷で鹵獲できた、大収穫だよ。アツヒトはね悪く考えすぎなんだよ、責任感が強いのは良いけどね、悪い方、失敗、被害だけを見るんじゃなくて、良い方、成果にも目を向けて、胸を張って欲しいね」


一方的に只管ひたすら詫びるアツヒトをナツオがフォローする。


「けどなナツオ、今回の件、その所為でメグミちゃん達は今後、冒険者組合の監視付きだ、自由を奪われる辛さは、一番分かってるつもりだ。それをこんな若い子に課すのは……」


「アツヒト、幹部会の決定だよ、君の所為じゃない、それにね、この件が有ろうがなかろうがメグミちゃんの監視の決定は時間の問題だったろう、この段階で判明したのは返って良かったと僕は思ってるけどね、なにせ人が死んでいない。これがもっとタイミグが悪くて、成長して手が付けられない状態になってからだと、どうなったと思う? 今なら幾らでも手が打てる、そうすれば今後の成長にだって違いが出る筈だろ? 本人含めて周囲が知っているのと知らないの、どちらが良い結果をもたらすか、考えなくてもわかるだろ」


顔を覆って俯いていたアツヒトは天井を見上げて大きなため息をつく、


「ふーーーう、分かった、落ち込んでいても仕方がない、今後の話をしよう、タツオ君、君はメグミちゃん達のパーティに移る意志は有るんだね?」


「ん? まああれだ、アキヒロさんとノブヒコに相談してからだけどな、だからまだわからねえ」


「その二人には此方から連絡を取って、事情を伝えて了解を取った。アキヒロもゴロウ君? だっけ3人組の男の子達と、追加で応援に行った治療部隊に居たユキコちゃん達女の子3人組、彼女達と今度のオーク狩りの遠征で知り合って仲良くなったらしい、パーティに加えてギルドを立ち上げると言ってる、あいつらも今回で『黄金』クラス中級冒険者だからね。何時でも戻ってきてくれと伝えて欲しいと頼まれたよ、随分渋られたが仕方がないと了解してくれたよ。またこっちに帰ってきたら一度話をして、そして送別の宴会は開くといってたよ、君も随分アキヒロ達に好かれてるね」


「そうか了解済みか、ならまあしゃーねえか、どうせほぼ強制なんだろ?」


「君も『勇者』なんだろ? メグミちゃんの傍に居た方が良いと幹部会も判断したんだ、アカリちゃんやカグヤちゃんも此方ここに加わるんだよね?」


「私はそうですね、タツオ君もいますしね、お目付け役で加わります」


「何だそりゃ? 俺が何かするってのか? 俺はメグミ程じゃねえよ」


「カグヤは当然加わりますよ、メグミ先輩の傍がカグヤの居場所ですぅ」


タツオの言い分にメグミは非難の声を上げそうになったが、隣のノリコに制止される、まあ雰囲気を読めと言うことだろう、


「うん、では君たちもよろしく頼むよ、但しこれから君たちは自由にクエストは受けられない、全て冒険者組合の許可が要る、冒険者組合の監視員の指示に従ってくれ、人員は現在選抜中だ、もう少し待って欲しい。可能な限り君たちの意志は尊重するが、これだけは分かって欲しい」


「取り合えずだけどね、今後の予定だけどね、先ずは君たちは防具を製作して欲しい、君達の装備する防具だ、素材はこちらで用意する。それと『カナ』を完成させてもらう。その辺を揃えるだけで君たちの安全率が随分上がって、危険率、暴走率が大幅に下がると判断された、自分達で素材を集める楽しみを奪って申し訳ないけどね、これは緊急だとプリムラ様達が強く主張されている。君たちは攻撃力に対して防御力が圧倒的に足りてないからね、自分達で素材を集めて製作するまで悠長に待っている余裕がないんだ、分かって欲しいな」


アツヒトの説明にナツオの説明が更に追加で加わる、


「まあ、良いですけどね、どうせ今後も魔物戦うんだから、前借気分で遠慮なく素材は貰うわ、けど私達が造った物で良いの?」


「師匠さん達がね、自分らが教えながら製作するからそこは問題ないと太鼓判を押しているんだよ。まあ『カナ』を造り上げた君達だ、そこらの職人よりよほど良い物を造るだろうし、やはり自分達の物は自分達で造った方が一番しっくりくるだろ?」


ナツオの答えに機嫌が良くなったメグミは、


「じゃあ監視員が決まるまでは迷宮の冒険はお預けなのね、まあ良いわ、どんなの造ろうかな、ちょっと考えてみるね」


「まあじっくり考えて欲しい、で、此処からはお金の話だ、今回の一連の君たちの働きに対して、組合の方では、幹部会の了解の元決定した金額、一人一千万円を支払う、6人で六千万円、それに別途先に述べた素材の提供が加わる、暫く遊んで暮らせるはずだ、時間は幾らでもあるよ」


アツヒトの言う金額に一同に静寂が訪れる、


「なあ、それ多すぎだろ? あれかメグミを暫く遊ばせておきたいんだな? その金額が含まれてるのか?」


「否定はしないよ、けど今回の実質的な利益を考えても妥当な金額だと、皆納得している、アイアンゴーレム、あの2体のアイアンゴーレムはそれだけの価値と利益を生んでいる。良いかい? 50トンの魔鋼だよ? 素材だけで幾らになると思う? さらに今回は君たちの働きのおかげで1体は無傷だ、その設計資料、監視機器の資料、今回『ゴールデンアップルツリー』に使用していた機器の資料、それらのメンテナンス機材、素材、その他諸々、軽く数十億の下手したら百億を超える損害を相手に与えて、此方はそれらの資料や回収した機器で莫大な利益が見込まれる。更に街中で暴れるアイアンゴーレムを仕留めている、その報酬、安すぎるとの意見もあった位さ、まあそこは素材を奢ると言うことで納得してもらったけどね、まあなんにしても市民の被害を防いだ、この貢献は大きい」


ナツオが補足の説明をする、


「けど私達だけじゃないわ? ナツオさん貴方達もでしょ? なんで私達だけ?」


「心配ないよメグミちゃん、僕たちも貰ってるからね、全く今回は大儲けだよ」


「そうなの? なら良いわ! んふ! 『ママ』!! 明日はご馳走よ! 肉が良いわ! ああでも魚も捨てがたいわね、後デザートね! フルーツタルトとか今回の一連の騒動にふさわしい締めだと思うの! お願いね!」


嬉しそうなメグミ元気な声が響いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る