異世界迷宮物語 ~剣聖少女はハーレムを夢見る~
綾女
序章
第1話
その昔地上には魔族が溢れ、竜種が跋扈し、魔物が暴虐の限りを尽くした。
魔素と怨嗟と血が地上を埋め尽くす中、人々は剣と魔法と神の恩恵を持ってこれに対抗した……長い長い戦いが続き、延々と流される血、消費される命と生産される死。
やがて人々は魔物との圧倒的な力の差に滅びの危機に瀕していた。人々が絶望し頭を垂れるその時、黒き暗雲が空を覆い昼を夜の漆黒で染める、そして黒き瘴気と共に大魔王が人々の頭上に現れた。人々が神に祈りを捧げ最後の時を待つ中、
大魔王は告げる。
「いやいやちょっと待って滅んだら駄目じゃん?
君ら滅んじゃったら僕ら明日から何食べたらいいの?
君らの負の感情が僕らのご飯だよ?
その絶望、大変美味しゅう御座います。
ご馳走様でした。
でもね滅んじゃったら困るなぁ」
人々が唖然とする中、さらに大魔王は続けてこう告げた。
「僕らさ地下に潜るわ。地下とか面倒だから地上に住んでたけどさ、魔素が駄々洩れで魔物沸きまくりで君ら滅びそうじゃん。だからさ地下に迷宮でも作ってそこに籠るわ。
ああ大丈夫、大丈夫、魔物もやばそうなのは粗方殺すか連れて行くかするから」
大魔王の声は重低音なのに口調はやたらと軽かった。
「今まで一杯殺した? 僕らが? そりゃそっちから攻め込まれれば応戦はしたけど、基本こっちから手を出してないよ魔族は。正当防衛だよ、正当防衛!!
魔物?
あれはその辺にあふれてる魔素から勝手に沸いてるだけで、僕らの管轄じゃあないよ。そりゃ中には生み出した手下の魔物もいるけど、そいつらは管理してるから襲ってないよ。
竜種?
あれはそれこそ全く僕らとは関係ないし、竜種は基本飯食って寝て繁殖してるだけだからね。奴ら君らのこと眼中にないから。お腹が空いたのに出会えばそりゃ食われるだろうけど、他に食い物があれば態々君ら襲わないから大丈夫じゃね?」
人々が混乱し途方に暮れる中、
「じゃあ僕らこれから迷宮作って籠るんで、頑張って繁殖・繁栄してね。産めや増やせで目出度いね、って目出度かったらダメじゃん、僕魔族じゃん!!
……まあ沢山増えて負の感情量産してくれることを……祈るわけにもいかないし、うーーん、期待してるわ。じゃあね♪」
大魔王は悪魔で軽かった。
大魔王が口調は軽い内容は重い宣言を一方的にして消えると暗雲が消え空から光が差し込んだ。
人々が大魔王の宣言に混乱する中、大魔王達魔族は宣言の通り、地上各地の魔都を捨て迷宮を作りそこに籠った。地上に溢れていた魔素が減り、凶悪な魔物も消え、地上には束の間の平和と迷宮への入り口だけが残った。
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