病弱なぼくが異世界に転生してハーレムを築いてみた
たどころこうじ
第1話
「息子さんはどうも薬石無効のようで……」
「こちらとしては手を尽くしました」
「彼のやりたいことをきいてあげてはいかがでしょうか」
隣の部屋で専属医が母に事情を説明している。彼らは保身に必死でこちらまで声が届いていることにまるで気がついていないようだ。
そういえば母が病室に来るのは久しい。人には飽かぬが病に飽くとはまさにこの事だろう。
短い生涯だった。先天的に体が強くなかったから運動の代わりに勉強ばかりしていた。結局その知識も持ち腐れになってしまったわけだが。
こうなることがわからなかったわけではない。それでもぼくには成し遂げたいことがあった。しかし日くれて途遠し。無常の風は時を選ばないものなのだ。
母は一言二言言葉を交わしたと思えば直ぐに帰っていってしまった。
ぼくは病室の外の桜に目をやる。数日前まで繚乱と咲き誇っていたのに今ではもう若葉が主張を始めている。
あと数日だな。
そう痛感した。
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