世界は黄色いユリのようだ~The world seems to be yellow lily~

@1217512

第1話

上手くいくことなんてほとんど無い


雲ひとつない|蒼穹(そうきゅう)

今日は財葉高校の入学式。

|逃伊崎愛人(にいさきあいと)は暖かい風を受け桜が舞う中気分よく登校していた。


登校中に

「高校では友達も彼女もできて?運動部でエースなんかになっちゃったりして?生徒会長とかやっちゃったりして?」

などと調子のいいことばかり1人で呟いていた。

はっ!と我に返り周囲を見渡した。

「ふーよかったー誰にも見られてないな。」

危ない危ない。

こんなの見られてたら入学する前にゲームオーバーだったぜ。

そんなことをしているうちに学校についた。


ここから俺の新しい生活は始まる!もう中学の時のような「ぼっちだから」という理由で起きた残酷なことはもう繰り返さないように気をつけなければ...

待ってろ俺の青春!!



クラスに入るのは少し抵抗がある。

あえて誰も行かないような高校選んだから全員が知らない人であるからだ。

だが!そんなもの乗り越えなくてどうする。

これからの青春のために俺はやる!

堂々とクラスに入り自分の席を探し、座る。

今はこれだけで大丈夫だろう。


「新入生の入場です」

そう声が掛かると廊下で待機していた俺は少し緊張してきた。

俺のクラスは1年B組。2番目にクラス全体で入るのに緊張するのっておかしいかな?

いやまぁどうでもいいか。


〇〇式といえばやはり校長先生のお話だ。小学生の時から思っているがなぜこんなに話が長いのだろう。

大体ほとんど誰も聞いてないし歳食ってるから滑舌もあれなんだよな。

聞き取りずらいし、内容もよくわからん。

でも校長先生の仕事だから仕方がないか。


ここで新入生代表の挨拶か。

いったい誰なんだろう。

「新入生代表の挨拶です。|新山莉織(あらやまりおり)さんお願いします。」

「はいっ!」

元気よく返事をしたのはうちのクラスの女子だった。

遠目であったがロングヘアーの良く似合う美少女である。


新山莉織が挨拶をしてる時目が離せなかった。

多分一目惚れをしてしまったのだろう。

なんて単純、見た目だけで好きになるなんて...

中学の時に学校のマドンナと呼ばれたやつに陰から「あれは無理だねーww」

と言われたのを忘れているのではないか、いやあれはほんとにキツかった涙が大洪水だよ。

見た目に惑わされたのが馬鹿だった。

そして何も思ったか告白しようと決めてしまった。



入学式が終わったあとすぐに新山莉織に

「放課後体育館の裏に来てください。」と言ってしまった。

当然返事なんて待たない。

内心ワクワクしている。

ほんとに都合のいい。




そして放課後、ダッシュで体育館裏に向かった。

鼓動が早い。緊張している・・・

すると新山莉織がこちらに向かってきているのが見えた。

あっやばい逃げ出したいどうしよう。

弱気になっているともう、すぐ目の前にいた。

「あの、何か用ですか?」

え、いやいや察しろよ、流石にわかるだろ、異性にこんなとこ呼び出されたら告白しかないだろ、何この人天然なの?

など考えてしまっていると

「あの...」

「あ、ご...ごめんなさい、考え事してました。」

「はぁ...それで何のようですか?」

落ち着け俺。

たった一言言うだけだろほら勇気だせ。

自分にそう言い聞かせて深呼吸しその言葉を放った。

「ふぅ...一目惚れしました、俺と付き合ってください!」

「無理です。嫌です。」

即答


あーつら、ちょっとわかってたけど意外とくるなこれ

「それだけですか?ならもう帰ります。」

「ち、ちょっと待ってください」

そう言って帰ろうとした彼女を引き止めた。

「なんで嫌なのか聞かせてくれませんか?」

俺がそう聞くと彼女は

「私にデメリットしかないからです。

あなたと付き合って何かいいことがありますか?

自分よりも優秀でもなく好きなわけでもない人と一緒にいたいと思えますか?

私は無理です。

それに入学初日から告白ということは外面しか見てないのでしょう?

そんなのはもう嫌なんです...あんなことはもう.....」

と最後の方は声が小さくなって言ったがちゃんと聞こえた。


「ではもう帰らせて頂きます。さようなら」

そういって彼女は帰ってしまった。

唖然としてなにもいえなかった


しょうがないよな、俺みたいなやつが高嶺の花なんて狙ったからだな。

うん。

しょうがない。

しょうがないんだ。

でも俺にしては頑張ったな。

よくやった俺。

・・・帰って寝よう...

彼の想像していた青春は初日の失恋という大きな針に貫かれ消え去ってしまったのであった。

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