錆びた脳で、腐った筆を執る

シンエンさま

錆びた脳で、腐った筆を執る

心は弱まった、折れそうになった。

一人でいる時も、他人と居る時も

いつでも自分は寂しく、

心細くなるって感じる。


苦痛に浸ってみたら、流石に痛かった。

それでも僕は、

苦痛から目を逸らすつもりはなかった。

少し逃げようともしなかった。

心が動揺しながら、前進しかできなかった。

そんな折れそうな自分が前へと

振り向くことなく進んでいった。


人生という旅に出る前に、

一秒も一刻も、

一回も一度も、

僕は逸らそうともしなかった。

鉄の最も熱いところを握ろうって

棘の一番痛むところを掴もうって、

そう決めていた、それにやっていた。


何千万秒は過ぎていった、刻々と過ぎていた。

美しい光景も、悲しい光景も、

人が笑顔で居られる光景も、泣いてばかりいた光景も、

僕は一秒も逃すことなく見ていた。


知りたいんだ。痛く感じている人たちの心に、

何が起きているのかを。

仲間になりたいんだ。世間がどうしても嫌ってしまう人の

実態にどれだけ迫ることができるかを。

抱きしめたいんだ。僕は涙を心から流す事ができるような泣き方で、

嫌われた者を、彼らを自分の愛する子供かのように。

試したいんだ。僕はどれだけ愛せるのか、

理解できるのか、我慢していけるのかを。

書きたいんだ。美しい内容でなく、綺麗な言葉遣いも二の次、

ただ人の痛みそのものが何なのかを。

伝えたいんだ。心に響くような言葉を選ぶことなくても

認められるような作品で、ただ内容だけで響きが強いように。


そうだ、僕は作るんだ。

文章は綺麗に思われていない。

物語は同質化されることはない。

内容は知られたことでもない。


なぜなら、

人が綺麗さを求めて、内容の質が薄くなる。

作品が同質化されて、同じ内容を別表現で見る気分になる。

痛みから目を逸らした人は、酔っぱらった人間が「この世に

痛みはない」と書くことしかできないように、

僕はなりたくないんだ。


酔っぱらず、知りたい。

痛くてもいい。

許されるべきじゃない人のことも、

許せない人の罪も、

真っすぐに見て、

僕は火に飛んで助けるんだ。


身を滅ぼそうと、

その火の痛みを感じることさえできれば、

僕は分かるんだ。

怖く思っている。

常にいじめられる。

それでも飛ぶ行為自体を、

怖く思っていない。


心も体も痛んでいる。

常に一方的に利用されている。

それでも焼かれる身を

癒すことなく進んでいる。

痛むこともない。


そんな事をして、

素晴らしくなるなんてのためじゃない。

ただ、人のことを愛したいんだ。

ただ、愛されない人のことを、

僕以外の人に愛されてほしいんだ。


上手な一つの事だけ、

上品な腕を持つ筆の達人と肩を並ぶことが

僕にはできれば、

あるいは、その上に行って認められることがあれば、

それは、

読者への愛だ、

弱虫の味方になったことだ。

そのためだけに、僕は生まれ、

そのためだけに、僕は生き続ける。


そんな願いを抱えて、

錆びる僕の脳は働き、

腐った僕は筆を執る。


いずれ、腐った僕の身が、

土に帰る火が来ると、

世間に痛んでいる人たちのことを

ずうっと思っていることだけが

腐りから残り、腐りから抜け出す。


そんな願いを、永遠な物に、

時代の奥まで響いてほしい。

できれば、何千万年も、

愛に注がれた精神の次世代が

生まれるよう

僕はまた、下ろした筆を執った。

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錆びた脳で、腐った筆を執る シンエンさま @shinennsama

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