源三郎江戸日記14 女中にこの付近で金持ちがいるのかと聞くと、ここの温泉場の頭取の草津屋善衛門さんは旅籠のほか料理屋、お茶屋、飛脚問屋をやってなさるだ、源泉の権利をもっいな


源三郎江戸日記14


女中にこの付近で金持ちがいるのかと聞くと、ここの温泉場の頭取の草津屋善衛門さんは旅籠のほか料理屋、お茶屋、飛脚問屋をやってなさるだ、源泉の権利をもっいなさるので、ここ、

らの旅籠は源泉を分けてもらっており、金を払っていなさるので、蔵には千両箱が沢山あるそうだよと言ったのです、それを狙うつもりなのか、しかしわざわざ女郎屋まで開くとはと言、

うと、


灯台もとくらしと言うことわざがあるように、まさか宿場の女郎屋が下手人とは思わないので、盗んだら知らん顔をしているのではとお峰が言うので、そうかも知れんがなんかおかしい、

と酒を飲み干したのです、いずれにしろここには今日しかいないし、本陣に大名が逗留していれば行動は起こさないだろうと言うと、お峰が旦那様はこのまま通りすぎようとは思ってい、

ないのでしょうと言うので、


盗人と分かればほおっておく訳にはいかんがと言うと、引っ掛ければとお峰が言うので、そうだな女郎屋に乗り込んであの男を脅してみよう、かかってくれば間違いないと言う事だな、

と言うと、どう引っ掛けるのと聞くので、俺は関東でも名高いムササビの源蔵だ、お前が盗人と言うのは分かっている、草津屋の蔵に今日忍び込んで千両箱を頂くが、邪魔はするなと、

言うのさ、


先を越されてはまずいと仲に引き込みがいるなら繋ぎをとるだろうと言って、お蝶に源信に草津屋の、周りをわざとうろつくように言ってくれと頼むと、承知と居酒屋を出て行ったの、

です、半時もあれば奴の配下の目にとまるだろう、そしたら脅かしに行くぞと言ったのです、私の役目はと聞くので俺の配下の7化けのお峰と言う事にしょうと言うと、おもしろそう、

ですねと喜んだのです、


さてそろそろ行こうと連れ立って女郎屋に行くと、いらしゃいしませどの娘にしますかと言うので、亭主に会いたいのだと言うと、どなた様でと言うので、ムササビの源蔵だ名前くら、

い知っているだろう、これは七化けのお峰だ、小太刀とつぶての名手だへたに逆らうと怪我をするぞと言うと、因縁をつけに来たのかと懐から匕首を取り出して抜こうとした時お峰、

が抜く手もみせず踏み込むと、


男はぎや~と言って匕首を落して尻餅をつき、右手から血が滴り落ちたのです、逆らうなと言うたはずだ、怪我したいものはかかて来いというと、先ほどの男がお侍様ここでは迷惑で、

す奥にと言うので、早くそういえば誰も怪我しないものをと言って奥座敷に行くと、刀は左に置きいつでも抜けるようにして座ったのです、そのムササビの源蔵さんが何の用ですかと、

聞くので、


俺は関東ではチョットは知られた盗人だ、お前も盗人だろうと言うと、とんでもありませんタダの女郎屋の亭主ですと言うので、隠してもムダダあの男達はお前の手下だろう、今夜、

草津屋に押し込んで千両箱を頂く、決して邪魔をするなよ、お前が引き込みを入れている事は分かっている、俺も随分前から入れているのだ、気がつかなかっちたろう、後からノコ、

ノコ出てきおってと言うと、


お前さんがムササビの源蔵だと俺の知っているムササビの源蔵とはちと違うがと言うので、そうかと言って刀を取り抜き打ちに切りつけると横に飛び跳ねると、手下が刀を投げて渡し、

たので受け取り上段に構えて踏み込み振り下ろしたので受け止めて、あ~つ、その太刀筋は芦田源蔵か、どこかで見た顔だと思ったがと言うと、気がついたか先ほどはギョッとした、

ぞ、


なぜお前がここにいるのだと言うので刀を納め、まあ座れというと芦田も刀を納め手下に下がれというと、手下がフスマを閉めたのです、ムササビの源蔵にムササビの源蔵と言うとは、

と笑うので、義賊と言われるお前が何を狙っているのだと聞くと、勿論草津屋善衛門のお宝さと言うので、草津に女郎屋をひらいてまで善衛門の土蔵を破るのはなぜだと聞くと、


おれが幕府直参のお船手組まの同心であった事は知っているな、今から2年前の事だ、回線問屋井筒屋の抜荷の探索をしていて船手組頭飯田佐門が井筒屋とつるんで抜荷に加担している、

ことを掴んだのだ、次の抜荷受け渡しの情報を知り船手奉行に捕り物願いを出したら、まずそなたが単独で船を調べて証拠品をもってくれば許可するというので当日に佃沖の抜荷船に、

忍びこむと井筒屋以下船頭を含め16人が殺されていたのだ、


抜荷の品を持ち小船に戻ろうとしたら船手組の船が回りを取り囲んでおり、わなだったことに気づいて急ぎ逃れようとしたら誰かが船に火を放ち海に飛び込んだのだ、俺も飛び込み、

対岸にたどり着いて役宅に戻ると、大勢の取り方が役宅をとり囲んでいたので、船手奉行もグルだった事に気づいたのだ、逃げる途中芸者のお勝つに会うとびしょぬれになっている、

俺を見て、


深川の空き家に船で連れて行きここに隠れているように言ったので、訳を話そうとしたら、取り方がそこらじゅうにいるが、源蔵様が悪いことをするはずがないわ、着替えと食べ物、

を持ってくるというので、袋のネズミなのでお勝つを信用する事にしたのだ、暫くそこに潜伏していると、抜荷に加担した罪で人相書きか張り出されているとお勝つが言い、多摩川、

を超えれば追っては来ないと、


船に隠れて川崎まで逃れて潜伏したのだよ、お勝つに調べてもらうと妻の早苗は役宅を追い出されて実家に戻り、役宅から抜荷の品と金寸300両が見つかったとの事だった、完全に、

奉行と船手頭にわなにはめられたのだ、船に火をつけて海に飛び込んだ奴の口の上にホクロがあったので、お勝つに言うと、俺の岡っ引きをやっていた熊吉を連れてきたので、話し、

をすると、


旦那が加担しているはずがないと思っていたが、ヤツパリお奉行だったんですね、その男を探れば本当の黒幕が分かりますよ、旦那は江戸に足をいれないでくださいと言って調べて、

くれたんだよ、その男は廻船問屋頭取相模屋の番頭だったのだ、相模屋と井筒屋はグルで俺が井筒屋と船手頭に目をつけたので口封じにあったとわかったのだ、相模屋の後押しは何、

と老中柳沢だったのだよ、


老中がからんでいるのでは冤罪の晴らしようもないので大阪に逃れて盗人と知り合い仲間に入ったわけだ、最近相模屋善衛門が草津善衛門と同一人物と言う事がわかり、復讐の為に、

ここに来たわけだ、俺は急ぎ働きで人を殺めたことはない、最初に会った盗人の親分が木枯らしの藤吉と言う人で、この親分は犯さず、殺さず、貧乏人からは盗まないという掟を守、

っている人だったので、俺も守っていると言うわけだと話したのです、


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