第6.5②話 もう一回
「ユナさん、放課後屋上来て」
俺はそう告げると自分の席に戻った。
*****
「いきなりこんな所に呼び出して、何?」
そんなことを言っていながら、事情も何も説明せずとも放課後ちゃんと屋上に来てくれたことが素直に嬉しい。
「ユナさん、もう一回キスしよう!」
「はぁぁ?!?!」
顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「あんた何言ってんの?!何であんたともう一回キスしなきゃならないのよ!!」
まあ、予想通りの反応だな。
「いや、俺もあれから考えたんだよ。どうやったらユナさんの魔力を元に戻せるかなって。そこで思ったんだよ!あの時と同じことをもう一回やれ…痛いっ!!」
俺が話しているにも関わらず、得意の平手打ちが飛んできた。せめて最後まで話を聞いて欲しい。
「あのね!あの魔道具は
「使い切り…?じゃあ、これはもうただのガラクタなの…?」
そう言ってポケットから
「そうね。言ってしまえばもはやただのアクセサリーと変わらないわね」
そんな、俺がどれだけ考えてこの考えに至ったと思っているんだ。これまでの苦悩の時間は何だったんだ。
「もう用が済んだならいい?さっさと帰りたいんだけど」
よくよく考えれば、ユナさんは自分の魔力をどうやって元に戻すつもりなんだろうか。この魔道具だって使えないというのに、他の方法でもあるのか。いや、だとしたらそれをさっさと実行して俺の家から出て行ってるよな。
何か考えでもあるんだろうか?
「考え?別にないわけじゃないわよ?もう一個、同じ魔道具が手に入れば済むことだし、他にも魔力だけを抽出する魔道具だってあるし、“こっち”の世界にいるから出来ないけど、手段ならあるわよ?」
なるほど、ユナさんはユナさんで色々考えているんだな。
いや、それよりも俺何も口にしていないんだが。何でユナさんは俺が考えていることが分かるんだ?
「ねえ、早く帰ろう?」
そんなこと、考えたって無意味なのかな。
*****
家に着くと、それぞれ自分の部屋に戻る。
俺はいつものように脱いだ制服をベットの上に放り投げると、椅子に腰掛けた。
「はぁ……、これからどうすればいいんだろ……、守るって言ったって敵はあれ以降来ないし、来たところで戦える自信なんて無いしな……本当にこれで良かったのかな……」
いくら魔道具を見ても答えは見つからない。しかしよく出来たペンダントだ。ハートの中に十字架という洒落たデザインだが、十字架が妙に禍々しい。
「まあ、どうにかするしかないか……こんな時に竜兄がいたらなぁ」
そう言うと、俺は机の引き出しを開け、その
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます