第14話 氷結

「暑いのです~」


「疲れたのです~」


「触手が溶けて来たのです」


 クトゥルーたちは、新たな基地を求めて旅を続けていた。


「やっぱ、暑い日はアイスに限るな」


「アイスうめ~」


 アイスを食べながら歩く学生たちが邪神の餌食となってしまうのか!

 触手を振り上げた邪神は……。


「クトゥルーもアイスを食べるのです」


「コンビニでアイスを食べるのです」


 コンビニへと駆け込んだ。


「はい、110円です」


「何を言っているのか分からないのです」


「暗号なのです」


「インスマウス人にすれば言葉も通じるのです」


「えーっと、シールではアイスは買えないよ」


 コンビニの店員は困った!


「アイスが買えないのです」


「こうなったら実力で奪い取るのです」


 そう、彼らはどんな恐ろしい事もやってのける邪神なのだ!


「アイスケースについた霜を食べるのです~」


「冷たいのです~」


 だが、そこにも邪神の恐ろしい罠が待ち受けていた!


「痛いのです、触手が張り付いたのです!」


「触手が凍り付いたのです~」


 何という事だ!

 邪神が氷漬けになってしまう!

 氷漬けになり南極の氷の下に棲み付かれてしまっては、最早人間に手出しする事は出来ない、どうすればいいのか……。


「アイスケースで、遊ばないでくれるかな……。こっちのクルクルアイスならあげるから……」


 苦笑いしながらコンビニの店員が差し出したのは、螺旋に渦を描く奇怪な姿のアイスだ!


「わーい、アイスなのです」


「おいしいのです」


「この人間もインスマウス人にするのです」


 コンビニの店員は、謎のシールを張り付けられても抵抗さえ出来なかった。

 彼の行動は、果たして人類の未来にどの様な災いを残すのか、その時はまだ、誰にも分からなかったのだ……。

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