電話を切り首を項垂れ体操座り

それ、餃子の王将じゃなくて、王将じゃん!

 ふうたん元気に今日もお昼寝中。

 けれども、ふうたんが目を覚ますと…、そこは…、ただでさえ日光が入ってこなくて薄暗い1階の広いリビングルームが真っ暗になっていた。ふうたん寝過ごしたあ!起きたら、夜の7時を軽く過ぎていたのである。

「てっちゃん、ゴメン。ちょっとお昼寝しただけなのに、夜の7時過ぎてるう。てっちゃん起こしてくれればよかったのに。」

 てっちゃんは、

「ええんや。ええんや。機嫌よく寝てたらそれでいいんや。」

 と口では言っていたものの、心の中では、

 ―「ふうたんのお昼寝邪魔したら殺されるわ!」

 と、思っていたのであった。


 過ぎたことを悔やんでも仕方がない。ご飯をどうしようか?2人は考えた。

「この時間から買い物に行って作るのも大変だから、なんかとろうよ。」

 てっちゃんが、そう言ってくれたので、そうすることにした。

 でも近所の定食屋の出前だと高い。美味しいけど高い。美味しいから高いのか。何しろ、てっちゃんは、

『ラーメン定食』

 これしかその店で頼んだことが無い。醤油ラーメンにライスと唐揚げ3つ添え物の野菜サラダにお漬物。この定食しか頼んだことが無い。でも、メニューを見ていつも悩んでいる。

「う~ん、きつねうどん定食にしようかなぁ?」

「どうせ、電話するとき『ラーメン定食』って変更するんでしょ。」

 本気で悩んでいるてっちゃんに、ふうたん、それは言っちゃいけないよ。

 そんなこんなで、ラーメン定食が1350円味噌煮込みうどんが1080円する近所の

 定食屋は却下され、テイクアウト、どこかでお持ち帰りしてきて家で食べようということになった。

 てっちゃんは、無類の餃子好きだ。特に、餃子の王将の餃子が大好きだ。ふうたんも、餃子の王将に夢が膨らむ。エビマヨもたのもうか?無いね。残念だね。ニラレバ頼もうかな?あそこのは不味いね。止めといた方がいいね。モヤシ炒めと、肉と卵の炒り付けにしよう!てっちゃんが、定食屋のメニューを決められない時間よりはるかに長くかけて散々話し合った末、餃子の王将にてっちゃんが電話をした。

 そして、

「餃子を3人前と・・・。え?あぁわかりました。じゃあいいです。」

 電話を切って、たいそうずわりになり首をうなだれた、てっちゃん。

 一体どうしたんだ。

 「どうしたの?」

 ふうたんが聞くと、

「餃子売り切れだって・・・。もういいよ、僕もうご飯いらない。もういいよ。」

 てっちゃん半泣き。

 そして、崩壊。

「餃子の王将じゃなくって、ただの 王将じゃーん!!じゃんじゃじゃん!じゃーーん!」

 結局、冷凍庫にあった鶏肉と野菜室にあった大分芽が出てるジャガイモを使って、ふうたんが、鶏とじゃがいものサワー煮をつくって食べたのであった。

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