第10話

俺は、今1時間近く正座をさせられている。そりゃ、座布団なんてあるはずもなく、硬いリビングのフローリングの上だ。


「それで、お兄ちゃん?どこに行ってたのかな?」


愛朱さん?どーしてそんなにニコニコしてるのかな?


「えっとですねぇ、愛朱さん。最初は、ほんの!ほんのすこしのつもりだったんですぅ!」


俺は、あの例の議員さんみたいに言い訳をする。だが、


「あっそう。でも、連絡ぐらいは普通するよね?」


「はぃ。」


妹に、口では勝てないようです。


「お兄ちゃん?絶対に次からこんな事しないって誓える?」


「はい!誓えます!破ったら責任を取って、愛朱のお婿さんに…」


「ほんとっ!?って言うのは嘘で…...迷惑だからやめて。」


「はぃ。」


本気で嫌そうな顔をするなよ。たとえ俺が冗談でもさすがに傷つくぞ。おい。


「じゃぁ、今回は特別だからね?次はないからねっ!」


「はい!絶対守ります!!」


「ならよし」


俺は、やっと正座から解放された。

よくも頑張りました。俺!てか!怒ってる愛朱も可愛い♡あの、愛くるしい瞳がたまらん!


「そーのーかーわーりー!今度の土曜日、私に付き合ってよ?」


「え?んー、エクスキューズミー?」


信じられない。あの愛朱が誘ってきた!?ま、まぢか!!


「今度の土曜日私に付き合ってって言ってるの!いい!」


「はい!喜んで!」


やったぁ!来たよこれ!でも、愛朱から誘ってくるなんて。まぁ、愛朱たんとデートできるんだし…にひひ…


「お兄ちゃん、気持ち悪い。」


「にひ、にひひ」


俺は、妹がどんな引いた顔をしてるかなんて気にせず、ニヤニヤし続けた。

今週土曜日は、愛朱とデートだ!!

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