八日目⑮
午後十一時。
シャムロックホテルを訪ねたサクヤは、預けていたスーツケースを受け取り、ホテル前から路線バスに乗車、香港国際空港へむかう。
不夜城。
香港を表す、聞き慣れた言葉である。
きらめくネオン。コンビニと看板、そこかしらに明かりが点いている。観光客が何処かへ歩き、誰かに出会い、どこぞへと消えていく。現地の人向けの店は午後八時で閉めるが、多くの外人向けの店舗は二十四時間営業だ。
「都市という都市~、ひとつー残らずー、旅してみた~が~、やっぱーりわたしのー好きなのはー、国から国へのーひとり旅~」
誰に聞かせるでもなくサクヤはつぶやいていた。
街を抜けると明かりが変わる。高速道路の黄色い外灯、超高層マンションを飾る無数の明かり。遠ざかる灯りは、夢の残滓を鏤めるかの如く。
バスは、サクヤを乗せて夜を往く。
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