桜月十九日
六日目①
窓から水平線に浮かぶ太陽がみえるも、雲行きは怪しい。天気を確認しようとテレビをつけるサクヤの傍で、トモは荷物整理に追われていた。
「このままだと超過手荷物料金払わないといけないかも」
受託手荷物は二十三キロまでと決められている。
物によるが、スーツケースの重量はおよそ三~四キロ。それを考慮にいれると、ケース内に詰められる荷物は実質二十キログラムまでとなる。
一キロくらいのオーバーなら大目にみてもらえるが、超過手荷物だと受付の長蛇の列に並んだあとでも「オーバー分を減らしてきてください」と告げられるか、超過分の料金を要求されてしまうのだ。
空港でスーツケースを開けて入れ直し、列に並び直していたら、フライト時刻に間に合わない可能性もでてきてしまう。
荷物が増える理由は、お土産の買い過ぎに他ならない。調味料などの液体物があれば、すぐに重くなる。
ただでさえ旅行時期が季節の変わり目で渡航先が暖かいベトナムだったから、薄着と厚着服がケース内の場所をとってしまう。
トモは自分のお土産で購入した箱や梱包を剥がしては捨て、バラマキ用のお土産は手荷物のバッグへ入れていく。手荷物は最大八キロまで機内に持ち込めるからだ。
サクヤはテレビを消した。
「トモ、ラウンジへ行かない?」
カコとキョウがドア近くで待っているのか、まだかな、と声がする。
「行っていいよ、食べてる暇ないかも。荷物整理が終わらせないと」
サクヤはトモの荷物を一瞥し、すぐに終わりそうもないと判断した。
「おーけー」
トモを残してサクヤたちは、ラウンジへと向かった。
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