五日目⑥

 食後、二人はクラブ・ラウンジのテラスへ行き、猫をみつけた。一匹や二匹ではない。

 茶色っぽいのや黒っぽいのが、立てた尻尾をくねらせ、歩いては止まり、人を見つけては擦り寄っていく。ホテルで飼われているのだろうか、警戒感があまり見られない。

 サクヤとトモにも一匹の猫が寄ってきた。薄い茶褐色の縞模様をもったスリムな茶トラ猫が、耳を三角にしたまま両手両足を折りたたんで座った。

 サクヤはしゃがんで猫の頭を撫でる。


「毛並みがいいな、この仔」


 トモもしゃがんで猫の背中を撫でていく。


「ほんとだ。手入れされてるのかな」


 周りを見ると、一匹、二匹と猫が寄ってくる。そんな猫達を撫でるだけでも二人の心は癒やされた気持ちになった。


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