第2話 バトル後はパックのコーヒー牛乳
「ふう、、、疲れたぁ、、」
シビックを完全にバックミラーから消し去り、ギャランフォルティスのドライバーはやっとアクセルを抜き、ため息を一つついた。
近くのコンビニに入り、車を停める。
外の空気を吸う為に運転席がゆっくりと開けられる。
降りてきたのは、、身長160センチに満たない小柄な女の子であった。
肩甲骨までかかる髪、定規で合わせて切った様なまっすぐのパッツン前髪。ぱっちりした瞳。服装は黒の大きめサイズのパーカーにやや短めのフレアスカート。
彼女のやや幼げな顔つきによく似合っており、いかにも免許取り立ての女の子だった。
「確か、、、あれ、シビック?だよね新型の」
彼女、神宮寺はるなは榛名山へ続く道をみながらふとつぶやいた。
コンビニで大好きなコーヒー牛乳を買ってバトルの余韻に浸りながら飲んでいると携帯が震える。
「はろはろー、初めての車で榛名山はどうだった?」
電話の相手ははやまるさんだった。
「あ、はやまるさんお疲れ〜」
はやまるさんは車のスクラップ屋の社長だ。彼は親が早くに亡くなっていて、親がやっていたスクラップ稼業を10代の頃から継いでいる。ちなみだが、はるなとギャランはそこで出会った。
「なんか、、、よく分からない走り屋チームに上りであっとゆう間にちぎられちゃって」
はやまるは電話の向こうで爆笑する。
「ぎゃはははは!当たり前だよ。ってことは、アイツらと会えたのか!サンライズのヤツらに。」
はやまるさんは声が大きいので、はるなは思わずケータイを耳から離す。
「声デカいから耳痛いよ!サンライズ?何それ?」
はやまるはしばし絶句し呆れたような声でゆっくりと話し出す
「はあ、、、車好きなのに知らないなんてな、、、サンライズ榛名は、峠の走りを本気で追求してるヤツらなんだよ。その辺の誰でも入れるチームと違ってさ、速くないと入れない本気の走り屋チームなんだ。
榛名山じゃ最速のチームだな。つーか、、榛名山走ってて知らなきゃモグリだぜ?」
はるなはコーヒー牛乳を飲みながら返答する。
「ふーん、、、、でも勝ったよ」
「はあ!?ウソだろ?免許取り立てて勝てる相手じゃ、、、いや、、そうだな。はるなの実力を考えれば有り得なくも無いのか、、。といっても二軍メンバーだろ?」
「うーん、どうだろ、、、何台か抜いたけど、先頭走ってたのは新型のシビックだったよ。上りは道を覚えてたからダメだったけど、下りは勝ったよ。」
「シビック!?新型の!?」
はやまるがまた絶叫する。
「ウソだろ、、、、あそこで新型シビックに乗ってるのは1人しかいねえ!サンライズのナンバー2、白鳥ケンスケだけだぞ!?」
「へー、あの車ってナンバー2なんだ。確かに他の車と違って車の動き方って言うのかな、何かが違うのは分かった。」
はるなは別段驚く事もなく、バトルを思い出す。
「まぁ、、、確実に今日の走りでお前はマークされたなあ。こりゃアイツが出張ってくるかな、ナンバー1のあいつが。間違いなく。」
はやまるが真剣に語る。、
「へー、ナンバー1かあ。何乗ってるのかなあ。私、本当ギャランに出会えて良かったよ。毎日本当楽しすぎ。私もさ、まだ走り出したばっかりだからどんどん速いヤツら見てみたいんだ。そーいえば走り屋って他にもいるの?」
見た目に似合わず、はるなは好戦的だった。
ナンバー1が出てくる話を聞いてから声のトーンが上がっていた。
「くくく、免許取り立てのくせしやがって生意気な事言うじゃねーか。たった1人でギャランを組み上げて、初勝利を収めたお前にプレゼントがある。帰りに俺んとこの会社寄ってきな。」
はやまるは呆れながらもはるなの峠センスに期待していた。
「え?はやまるさんこんな夜中にまだ会社にいるの?」
はやまるは会社から少し離れた所に家があるのにも関わらず、すでに夜中の0:00は過ぎているのに、まだ会社にいる状態にはるなはびっくりした。
「そーは言ってもお前が事故らねえか心配でよ。事故ったら僕ん所電話してくるだろ?
準備して待ってたワケよ。」
はやまるははるなの事を心配し、いつでも迎えに行けるように準備して待っていたのだ。
しかもあらゆる事を想定して事故の際の道具もしっかりセッティングして。
「優しいじゃん。じゃあ今から行くよ。プレゼント楽しみだなあ。あ、もしかして焼肉とか用意してたりしてー。じゃ飛ばして行くね。それじゃ!」
「おお、気を付けろよ。」
はるなはプレゼントを想像してウキウキしながら電話を切ると、スグにギャランに乗り込みアクセルを踏む。ファン!とツキの良い音を立てて、ギャランは長野県方面へ向かっていった。
榛名山のはるなさん はやまるびー @Hayamarubee
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