窓際

風鈴水影

ヒトの一生

○○「おはよう。」

みのり「おはよう」

○○「今日も来てくれたんだね。何もできなくてごめん。」

みのり「来たいだけだからいいの」

○○「今日もいい天気だね」



みのり「あの子は私にとって、とても大切な人。でも、私は、あの子を助けられない。あの子はもうすぐ。。。」


先生「みのりちゃん。少々いいですか?」

みのり「はい、大丈夫です。」


先生「もうわかっていることだと思うのですが、あの子の余命は――」

みのり「わかっています。あと2週間持つかどうかですよね。」

先生「ええ、手は尽くしているのですが。。」

みのり「先生が気を病むことはありません。」

先生「私は、あの子に最後に幸せな思いをさせてあげたいんです。」

みのり「私もです。あの子には幸せになってもらいたい。先生、あの子に外出許可をいただけませんか?」

先生「一度だけ一度だけ許可しましょう。」



○○「何の話をしてたの?」

みのり「いつもどうりだよ。あなたの今後のお話。」

○○「どうなってしまうのかな」

みのり「―――。私には、何とも。。。  それより!」

○○「どうしたの?」

みのり「外出許可をもらったの。久しぶりに外に行きましょう!」

○○「そうなんだ。楽しそう。」

みのり「準備しないと!」


二日後


みのり「さて、どこに行きたい?」

○○「えっと、、クレープが食べたい。かな。」

みのり「じゃあ、行こうか!」


○○「すごいね。テレビでしか見たことなかったよ。」

みのり「よろこんでくれた?」

○○「うれしいし、おいしい!」

みのり「それは、よかった。」


みのり「その後、あの子は、行きたいところに行って、やりたいことを思い切りやった。あの子は、洋服を買ったり、ゲームをしたりしてすごく楽しそうだった。私もすごく楽しかった。」


○○「もうこんな時間か。」

みのり「ほかに行きたいとこある?」

○○「えっとゴホッ、ゴホッ。」

みのり「大丈夫⁉って、血出てる!早く病院戻らないと。」

○○「ごめん」



みのり「大丈夫?」

○○「大丈夫。今は、落ち着いてる。」

みのり「ごめんね。私が連れ出したばっかりに。」

○○「今日は、楽しかったよ、もう何も思い残すことはないくらいにね。一生分の幸せを感じたよ。一緒に買い物したり、食べ物を食べたり。今日という日が、宝物だよ。難しい病気だけど、治ればまた、一緒に遊べるよね。」

みのり「もちろん。そうだよ。また遊びたいよ。また、いろいろ食べたいよ。」

○○「もう少し頑張る。頑張ってみるけど、ダメだったらごめんね。もしどうしようもなくなったら、その時は、抱きしめて。少しわがままだけど。頑張ったねって」

みのり「わがままなんかじゃないよ。私は、もっとずっと一緒にいたい。だって、私は…!」

○○「好きだよ。愛してる。  遅くまで引き留めてごめん。もう帰らないとだね。 また明日。」

みのり「明日、また来るからね。」



みのり「なぜ、あの子だったのだろう。もっと幸せに生きてほしかったのに。どうしようもないのかな。私は、あの子の一体何だったんだろう。私は、私は――。」


みのり「おはよう。」

○○「おはよう。よかった、今日も来てくれたんだね。ありがとう。     でも


もう、   」


ピーッ、ピーッ。


みのり「流華―。」


先生「その後、私はみのりを病院で何度か見かけましたが、彼女がどうなったのかは知りません。


私は、あの子に感謝しないといけません。あの子は、私の娘を、唯一愛してくれたのですから。」


Fin.


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