詩篇──冬の夜

kud

冬の夜

君にひとつ

君に午後

君に 夜


北側では 冬至に起こる極夜が

南側では 夏至に起こるらしいが どちらも冬だ

厚い氷の下で透明な体をした魚が

訳知り顔で君にそう伝えてくれと 泳いでいる


だから君にひとつだけ 終わらない夜が訪れる


その一度きりの中 銀のミルクが

一滴 いってき 丹念に流れている


魚には水で

鳥に空

鳥には 森

鳥が木々の中 年輪に隠れている


見えない とは どういうことか


君はいつも意味を求めている

意味を探している そこに

そこにある 意味が 欲しいのか


透明な魚も 見えない鳥も 得意げにしているが

秘密を持っていると思うのは 間違いだろう


北と南に等しく 極夜と白夜があるように 

君にひとつあるいは一滴 

ミルクのように血のように 流れていて

永遠にも一瞬にも きたるべき夜がある

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