隠された史実を紐解くは…
第16話 紫之歴史
翌日。
暎帝、彩結、黎翔、凰琳、照王、瑞華の6人が龍皇宮の暎帝の自室に集まった。
連れてきた従者達は離れたところに控えさせ、話が聞こえないようになっている。
黎翔は落ち着かなく思い、隣に座る凰琳にこっそりと尋ねた。
「凰琳、我は触れてはならぬことを聞いてしまったのだろうか…?」
凰琳は悲しげに目を伏せて言った。
「鸞様…皆ならば触れてはならぬことでしょう…なれど、
暎帝が咳払いをし、始めようかと声をかけた。
まず、口を開いたのは凰琳だった。
「鸞様にお聞きいたします。御身は私の帝位継承位をご存知ですか?」
「帝家と長公主に次ぐから、第十四位だろう」
「そう思われますわよね…」
「違うのか…?」
凰琳は苦笑した。
「私は第三位にございます」
「…!?我が妹ということか?」
本来翠華公主がいるはずの位置に凰琳がいることで驚いていた。
「いえ、私が照の姫だからですわ」
そこに先触れの鈴が鳴った。
暎帝が鋭い声を発した。
「誰ぞ!人払いをとっ…!」
「余だ」
そこにいたのは先帝だった。
「父上?」
先帝は照王の前に跪いた。
「祖父上…!」
先の皇帝であるから、誰にも膝を折る必要がないのに跪いたことで黎翔は驚いたのだった。
「
「大兄、上座へ…」
「遠慮しますよ、大家」
「父上、祖父上、どういう…」
答えたのは瑞華だった。
「皇太子殿下…紫陽という前王朝の宗室だからですわ」
「前王朝…譲位したという?」
照王から怒気が発された。
「ひ、控えよ、鸞。譲位など、形だけだ。三代前の皇帝を知っておるか?お会いしたことはないがな」
「えぇ、名君、
「いかにも。真名を
黎翔の顔は困惑していた。
自らの学んだ史書では、燈帝の真名は
「紫氷波は真の燈帝を
「は…?」
黎翔は信じられないという表情をした。自身に流れる血が、罪人のものであったとは誰もすぐには受け入れられないだろう。その様子を痛ましく感じながらも、先帝は語り始めた。
「あれは…100年ほど前であったかな…とても平和な御世であったところに、乱れが起きたのは」
先帝は昔、父から聞いた話を思い出すように目を細め、ゆっくりと言葉を紡いでいった。
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