800字エッセイ

なるぱら

恒例行事

今年もこの時期がきた。

大晦日に店頭で受け渡す年越そばセットの注文チラシを、数日に分けて周辺地域へポスティングする。

年に一度、師走はじめの恒例行事だ。

例年のことながら、わずか店から周囲五百メートルの範囲でさえ、何箇所かで風景が一変していることに驚く。

そんな中でまた一軒、昨年まであった豪邸が一戸建てとなっていた。

豪邸時代は門塀で見えなかったが、まだ建設中のそれも含め四軒も建てられるほどの敷地があったのかと驚く。

そのうちの一軒のポストに近づきながら、足元に目をやって「あぁ買った人はこうなることは予期してなかったろうな」と同情した。

庭だけでなく玄関口にまで大量の枯れ葉が落ちているのである。

大きなゴミ袋で三袋分はゆうにありそうだ。

おそらく引っ越してきた時には予想しなかっただろう。

これから毎年、このお宅は落ち葉掃除が恒例行事となるのだろうか。

落ち葉を散らさぬよう手を伸ばして投函した。

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