素敵なおくりもの

カゲトモ

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「お、奈々子」

 出勤途中、レモンを買いにかどわき青果店に向かっていると、後ろからドンッと脚を掴まれた。視線を落とすと、そこにあるのは二つのツインテールだ。

「すかい~!」

「今日も元気だな」

「げんきげんき!」

 花のように、例えるならそう、ヒマワリみたいな。そんな小さな太陽みたいな笑顔でくるくると奈々子は回る。どうしたどうした元気が良いな。

「何か良いことでもあったのか?」

 誕生日は今日じゃなかったと思うけど。クリスマスでもないし、何があったんだ。

「えへへー! あのねーななちゃんねーおねぇちゃんになるんだよ!」

「えっ」

「ふふふふふ」

 首を傾げながら笑う癖のある奈々子。その仕草も表情も、本当に心から喜んでいるように見える。

 そうか、門脇君の奥さん、おめでたなのか。

「そうかそうか、それは良かったな!」

 しゃがみ込んで視線を合わせると、奈々子がぎゅっと抱き付いてぴょんぴょんと跳ねる。

「うん! うれしい!」

「うんうん、良かったな」

「ななちゃん、おねぇちゃんだよ!」

「奈々子もお姉ちゃんかぁ」

「うん、おねぇちゃんなの!」

 ウサギみたいにぴょこぴょこ跳ねる奈々子の手を引いて一緒に店に向かった。店先には門脇君と奥さんがいた。二人の表情は穏やかだ。

「いらっしゃい、スカイさん」

「こんにちは。奥さんおめでたなんだって? おめでとう」

 ありがとうございます、と、そう続くと思っていた。けれど、そうじゃなくて替わりにクエスチョンマークが浮かんでいた。

「え」

「スカイさん? 何を・・・」

「え? おめでたじゃないの?」

「え?」

「え?」

「え?」

 大の大人三人が店先で、そろいもそろってポカンと口を開けた。うん、何これ、奈々子どうしたの。

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