父親の才能
「案外あっさり」
「あ……?」
「いや、案外あっさりと思い出したみたいで」
そう。 不意に思い出した事柄がある。
“娘をお救いください”
あの
愛しい娘が、これ以上血潮に
何とも
「………………」
ともかく請け合った俺は、どうしたんだっけ?
こういう性格だから、バカ正直に娘と向かい合ったのだろう。
もちろん、冷たい
その結果は、
この身がこれまで
「しかし、お前も
「はい?」
「親に向かって手ぇ上げるどころか、滅茶苦茶しやがって」
「はは? 懐いて欲しけりゃ、もそっと親らしく振る舞ってみせなさいな」
それもそうかと、妙に得心する自分がいた。
月並みながら、親らしいことなど、これまで何ひとつとして
きっと、子らに顔向けのできない父だったのだろう。
果たして父親というものに、相応の才覚が必要であるか、それは多分に論ずるべき
老々介護ならぬ、幼々扶養。
まったく情けない話である。
「分かってんなら掛かってきなさいな。
「なに?」
目先に意識を留めると、片手間に和弓を
そうして
「
「私はあなたを討つ。 でも、気負う必要はありません」
「なんだと?」
「今も昔も、あなたは私の遊び相手だから」
「それは」
「父親としては最低でも、喧嘩相手としては最高なんですよ。 あなたは」
瞬間、空が
応じる史も、手負いの身に
そうして拾得した金棒で、これを一心不乱に
アスファルトを
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