　議論が好きだ。

　しかし、往々にして議論を吹っかけるとそれは「喧嘩」と思われやすい。

　こちらとしてはディスカッションを楽しんでいるつもりでも、第三者からは「もうやめようよ」「はいはい、そこまでにしよ？」と中断される。しかし私は喧嘩をしているのではない。相手と意見を戦わせ、落としどころをつかみたいだけなのだ。頼むから中断しないでほしい。こちとら楽しんでいるのだから。

　バイト先のシェフは議論が好きな人である。

　彼と何度面白い議論を戦わせたことか。

　そして何度、周りの人間を凍りつかせたことか。

　死刑制度の是非、貧困女子高生について、芸能人にプライバシーとしての人権はあるか否か、ガキ使の浜田の黒塗りは黒人差別か否か……。

　どれも興味深いディスカッションとなった。

　シェフの年齢、私の継父とひとつちがいだけども。

　知の応酬に年齢は関係ないのである。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい