True Lily ~冴えない彼女の育て方 英梨々end~

灯凪蓮

第1話

「っ、ねぇ倫也!」

「あんた、あたしのこと、好きだった~?」

「10年前、好きだった~?」

っそんなこと、そんなの決まってんじゃん!!お前はあの時、俺の一番の女の子だった!!一番近くて、一番大好きで、一番大事な女の子だった!!

「…あたしは、大好きだったよ」

「え、り…り…?」

「ほんとは言うつもりなかったんだけどね~。

 あんたのその顔見たら勇気出ちゃった…自惚れちゃった。」

えへへ…と笑う英梨々はさっきまでの強さは消えて、背中は震えていた。それが寒さなのかそれとも…なのか、表情が見えないから分からない。

「答えはいらない。だって、もう倫也には恵がいるから。」

いつもいつもお前はそうやって…

「泣けよ!」

気づけば叫んでいた。ご近所さん本当ごめんなさい。

「強がんなよ!別に今はクリエイターのお前でなくていいだろ!

 俺の!幼馴染のお前でいいんだよ!お前が本当は弱いって知ってんだよ!

 幼馴染なめんな!」

「っもう、泣かないって決めたの!前に進むって!」

「それは分かったよ!それは柏木エリの話だろ!」

「そうよ!」

「じゃあ、澤村・スペンサー・英梨々はどうなんだよ!?」

「柏木エリも澤村・スペンサー・英梨々もどっちもあたしじゃない!」

「お前の人生はそれで幸せなのかよ!」

「幸せよ!それがあたしの夢なんだから!」

「お前、一人ぼっちになるぞ!」

「一人じゃない!霞ヶ丘詩羽がいるもん!うるさいリア充!」

俺、今何言ってんだ…?英梨々にどうしてほしいんだ…?俺は何がしたいんだ…?俺は英梨々に頑張ってほしい、すごくなって欲しい。これからも応援したい。それで、いつか追いついて、皆でまたゲームを作りたい。

「どうして邪魔すんの!?どうして揺らがすの…!?」

そう、思ってたはずなのに。今はすごく英梨々を手放したくない。今のお前を手放したらまた、後悔する気がするんだ。

「やめてよ…言ったでしょ…?倫也の傍にいたら描けないって…」

「お前が…弱いとこ見せるのが悪い!可愛すぎるのが悪い!」

「っはぁ!?あ、あんた何言って…っ!?」

ボフンッと顔を真っ赤にしてロボットのように振り向くその瞬間を、俺は逃さなかった。まるで、恵とキスをしたあの時のように。…いや、キスはしないからね!?ただ、その、ちょっと抱きしめただけだから!!

「なななななな…!?」

「ごめん、英梨々」

ごめん、恵。俺は最低な主人公だ。

「あああぁあ、あんた!め、恵がいるくせに…!!」

「うん。俺は恵と付き合ってて、今、俺は恵を裏切ろうとしてる」

「そ、それって…!?」

「夢に向かって頑張っていくお前を止めたりしない、

 でも、支えてやりたいんだよ!傍に…いたいんだよ。

 今年はよろしくしないなんて言うなよ…っ」

気づけば俺は泣いていた。ガキみたいに泣いていた。そんな俺に英梨々は一つため息をつくと、ぎゅっと抱き着いてきた。

「…まったく、倫也はばかだね」

「うるぜ…っ」

「すっごく嬉しいよ、倫也、ありがとう」

「じゃ、じゃあ…っ」

「でも、すぐに返事はできない。お互い…いろいろあるでしょ?

 やらなきゃいけないこと、決めなきゃいけないこと」

「っ…そうだな」

「卒業式」

「卒業式?」

「行けるか分かんないけど…返事、その日まで待ってくれる…?」

「いつまでも、待ってる」

「ふふ…なんか倫也重い」

「そ、そんなことねぇし!」

「霞ヶ丘詩羽のがうつったんじゃないの?」

「恵かもしれないぞ?」

「…納得」

「親友のくせに」

「彼女のくせに」

抱き合いながら笑いあう。お互いの体温を感じながら。

「あたし、先帰ってるね」

「おう」

名残惜しそうに離れていく英梨々に愛しさがこみあげてくる。

「倫也…明日になって、今日のこと無かったことにするとか無しだからね?」

うちのサブヒロインがメインヒロインよりもキュンキュンするかもしれない件。

「そんなことしない」

「そっか、良かった」

…ガチャンと扉が閉まる。

「~~~っ…何やってんだよ俺ぇ…」

込み上げてくる罪悪感に俺の足は支えきれずしゃがみ込んでしまう。とりあえず、恵に話さなきゃ…

「…さいってーだ…」

ディスク叩き割られてもしょうがないよぉぉぉぉお…こんなクソ主人公…




「倫理君」

俺が自己嫌悪に陥ってると、そこには黒髪ロングの重い先輩がいた。












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