ボーイズラブとガールズラブ

ボーイズラブやガールズラブ、露骨な性的表現がない作品は好きだ。切なくなるような、苦い初恋のような作品は大いに好きだ。性的表現があからさまに含まれてしまうと、その価値が失われてしまう気がする。

私の母は、少女漫画が大好きだ。その影響で、小さな頃から古いマンガ本をたくさん読んで育った。

一番のお気に入りは、一条ゆかりの砂の城、だった。事情のある幼馴染の恋人との結婚を反対され、その恋人が残した子供を引き取り、その子供と恋愛関係になってしまうという、ドロドロストーリーなんだがそこは一条さん、嫌みなくまとめてくださっている。

幼い頃は、どのキャラクターにも感情移入できず、ああすごい話だなって思いながら読んでいたんだが、歳を重ね様々な経験をする毎に、どのキャラクターの気持ちも理解出来るようになって行くから、何度も読み返してしまう。

この作品がなぜボーイズラブなのかというと、物語の途中で引き取った子供フランシスが寄宿舎のある学校に入る事になるんだけど、そこでのルームメイトが訳ありの問題児のフェランで、フェランはフランシスだけに心を開いていくという切ない下りがあるからだ。そこにフェランの異母兄弟なんかも出てきて、もうドロドロの黒黒ですね。でも、こういうの大好き。

一条さんの作品は結構読んでいるんだけど、ティータイムという作品には、弟に恋してしまい自殺してしまう姉と、そのモデル仲間のガールズラブ的なものもあるし、デザイナーという作品には、世話役と主人の痛々しい関係のボーイズラブ的なものがある。私が男性の長髪が好きなのは、一条ゆかりのせいなのか?

そして、今まで読んだ中で傑作なガールズラブものと言えば、池田理代子のおにいさまへ…であろう。

これは、アニメも傑作だと思う。ラスト、アニメとマンガじゃ違うんだけど、どっちも好きだ。

主人公を取り巻くキャラクターの濃さったら!形容し難い。

サンジュスト様に切ない恋心を抱く主人公、その主人公が大好きなマリ子さん、サンジュスト様と薫さんは友達で、サンジュスト様は姉の蕗子さまが大好き、というか殺したいくらい好き。そして蕗子さまは主人公を利用する。

私はマリ子さんの直球的なあからさまさが好きだし、サンジュスト様の異常に病的な心理も理解できるし、蕗子さまのサディスティックな愛情も切なくなるし、主人公の背伸びしてサンジュスト様に近付こうとする様なんて、心臓が痒くなる位恥ずかしい。

十代の多感な時期に感じた、年上の女性への尊敬を含んだ憧れ、という懐かしさ。中学生の頃、私は年上の女性ばかり気になった。あれは、恋だったのか、それともただの憧れだったのか?

私は女子高とは程遠い、全校女子数50人弱の工業高校に通っていたのだが、そこで見たのはボーイズラブ的なものばかりだったな。昼休みに上級生が日なたで、膝枕していたり(もちろん男同士)…男が固まると結構汗臭いんだろう、と思う人も多いだろうが、いや、みんな結構お互いに気を使うのか、全校集会の時なんか、みんな女子より良い匂いがする。

話がちょっとそれてしまったが、ボーイズラブやガールズラブに偏見を持っている人達は、こんな作品を読んでみるといい。

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