録 ――表、2

 になり、新聞に小さく載った。

 妙な話だ、と記事を書いた本人の浅月あさづきは思った。被害者と思われていた男の自宅から遺体が発見された。男は状況からして殺人事件の犯人――そう判断せざるを得ない。しかし。

 付き合っていた女性を縛り上げて溺死させる。残酷な手口だ。体育教師ということだが、特に粗暴という話もなく、勤め先の評判はとてもいい。

 なにより、人が死にそうなんだ、と言っていたというコンビニ店員の証言もある。

 の果ての事故アクシデントだったのか?

 捜索ではその手S Mの本は出てこなかったというし、どうも話がしっくりこない。


 それに浅月には気になっていた。

 小さな町にしては死人が多すぎる。

 男の勤め先――高校に話を聞きに行ったとき。校長はぽつり、彼もか、と呟いた。

 浅月がどういう事です、と聞くと校長は答えず、ごまかすように死んだ体育教師の話を始めた。

 

 いったい、何が起こってるんだ?

 記者の嗅覚が疼く。煙草に火をつけて、手帳に既にわかっている情報を書き始めた。ひとりの自殺した少女と、連鎖するクラスの人間の死亡。

 ひとつひとつは何の関連もない事故や事件に見える。

「本格的に調べる必要があるのかもしれないな……」

 煙を深く吸い込む。




 浅月の携帯が、ほんの一瞬だけ――かすかに震えた。


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