第26話 遺跡探索にて敵とのニアミス




射土いづちで壁を蹴り、罠をすっ飛ばして先へ進む。





丁寧に罠を看破してもいいが、

俺単身で進むならそんな必要もない。



ジルタスから受けた命令は二つ

〇できる限り最深部に潜って、映像記録機器におさめること

〇敵、もしくはそれに類するものに出会ったら、交戦せずただちに撤退すること




それにしても・・・意外に深いな・・・




事前に聞かされた話だと

この遺跡は『外れ』の可能性が高いとのこと

でなければ、俺らに頼まないし、こんな少数を送り込まない。



広い場所に出た・・・



礼拝堂?というイメージがぴったりくるだろうか

微かに差し込む光が乱反射して幻想的な雰囲気を醸し出している。

並木の様に祈る騎士の像とその中心に少女の像が佇む・・・



きゅい?



動物の鳴き声

タヌキのようなイタチのような灰色の毛皮の動物が

前を横切る、ケイシュウに驚いたそれはスタコラと逃げてしまった。

・・・まぁいいか




・・・!?




足音・・・しかも・・・複数・・・

ケイシュウは石像の後ろに身を隠す。




「がはははは!!!やっと着いたぜ!!!」


「ゼイル、うるさいぞ」




にぎやかな男と冷ややかな女、あと大男の3人か・・・

制服からして、帝国軍だ・・・国境沿いとはいえ、こんなところに堂々と




「ここも・・・『外れ』だな・・・もしくは既に誰かが持ち去ったか」


「うーん、入口しか荒らされた形跡なかったし、前者じゃね?」




「上層部の話だとここは有力な候補地だったんだそうね」


「まったく、こんなとこまでコソコソ侵入して空振りとか」





きゅい?




「お、キツネがいるぞ」



「ちぃちぃちぃ」

女が咽を鳴らす。



きゅいい



キツネは逃げていった。



「がはははは!!!メリッサ怯えられてやがる」


「・・・お前、殺すぞ」






$$$







時間をおいて遺跡を出る。

ジルタスさんも間一髪、無事に身を隠していたらしい。



「あれは帝国軍エリート部隊の魔導師団の制服だった・・・危なかった・・・この足では、見つかったら最後だっただろう」



へぇ、あれがエリート部隊か

結構、自由な感じなんだな

俺が言うのもどうかと思うが・・・



ジルタスは映像機器におさめた画像を確認する。



うーん

うーん



唸って考え込むジルタス



「帝国軍の魔導師団まで出張ってきたということは、『ここは重要な遺跡に違いない』と思うんだが」



「・・・だが、そいつら、ここは『外れ』だと言っていましたよ」



・・・



「・・・ならば『外れ』だな」



ええ・・・

帝国との魔術の技術差に不安になるケイシュウだった・・・




そういえば、

遺跡内にいたタヌキは

罠にビビッて閉じ込められていたみたいだったので

外に逃がしてやった。

ひとつ善行を積んだということで




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