綺麗好きな彼女
彼女は子供の頃から綺麗好きだった。誰でもは持ち得ない魔法の才を、汚れを洗い落とすことばかりに使っていた。
彼女は衣服の汚れだけでなく、家の中も外も汚れを許さなかった。
村中を綺麗にするだけでは飽きたらず、近隣の村からやがて国中へと、その範囲は広がっていった。
「どうして綺麗にならないの」
芥を投げ捨てるのを気にしない者もいるから、塵一つ落ちていない国にするのはほとんど不可能。
けれど彼女は綺麗好きだ。許さないのは、落ちている芥だけではなくなっていた。
「汚れは排除しなければ」
彼女が許すのは綺麗なものだけ。服も家も街も――人の心も。
今や魔女と恐れられる彼女を排除しようとする私を、きっと許さないだろう。
※297字
※Twitter300字SS参加作品、第88回お題「洗う」
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