航海士たち
陸地は水平線のかなたに消え、船は海流を横切っている真っ最中。空は快晴、なのに気分は最悪だ。
「また船酔い?」
甲板でぐったりしていると、雲はないのに影がさす。呆れ顔に見下ろされていた。
「エク……助けてくれ……」
「そうやってすぐ人に頼るから、いつまでたっても慣れないんだよ。魔術航海士の仕事は航海士の船酔いを治すことじゃないし」
波を操り風を吹かせ、船の航行を助けるのが魔術航海士の役目だ。
「うぅっ」
すげない声が遠ざかり、喉の奥からせり上がってくるものがあった。慌てて起き上がり船縁へ向かう。海をのぞき込んだところで、急に楽になった。
「航海士が落ちたら困るからね」
縁に肘を突き、隣でエクがため息を吐いていた。
※300字
※Twitter300字SS参加作品、第78回お題「波」
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