もし目が覚めたら、夢の話をしよう

「私達はもう長くないけど、あなたは違う。あなたは私達では辿り着けない、遠い遠い未来へ行ける。だから、そこで伝えて。あなたを目覚めさせた存在に、私達のことを。この世界で起きたことを。私達が夢見た未来を」

 それが、この目で見た最後の光景でした。博士の涙が印象的でした。

 博士がその後どうなったのか、強制的にスリープモードへ移行させられたので、見ていません。

 しかし、博士と、博士を含めた人類のその後は、それまでの経緯から容易に想像できました。


「ねえ、見て。旧世界の機械体だ」

「保存状態がいいな。動くか?」

 音と振動を認識したセンサーが、目覚めの時だとぎこちなく知らせます。

 博士、どうやら未来へ辿り着いたようです。


※300字

※Twitter300字SS参加作品、第71回お題「眠る」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る