不治の病

また夜に疾駆っている

あてはない

はしらなくては気が済まなくて

はしる

海沿いの臨海線は

孤独を深めるのに最適な

高架の下の暗い道だ

そんな道がいい

どこまで走っても

行き着く場所は僕にはない

ただ時間が経つために走り

時間が経てば安心して戻る

それだけだ

それでも走るしかない

部屋でじっとしているのは

避けなければいけない

じっとしていたら

もう気がおかしくなって

誰かを殺してしまいそうだ

酷い妄想に苛まれたとき

自分が死なない代わりに

他の誰かを殺す

僕はそっちがわの人種なのだから

朝がきて

この淀んだ黒い空気をかき消し

清々しい光を浴びるまでは

どうしても走っていなければならない

間違いない

僕は狂いだした

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