あたたかいうた

妹の旦那が

結納返しのロレックスを売って

その金で三線を作り

僕と両親に弾いて聴かせる


僕は沖縄民謡に明るくないから

彼の唄うこともわからない

けれど彼はいい顔をしている

いい三線なのだそうだ


彼は二度目の癌を患い

仕事をしながら療養している

彼らの家はいつも温かであるが

考えたくないことをふいに

やはり考えざるを得ない

彼はそれでも唄う

とてもいい顔をして


両親も彼を見れば

やっぱりいい顔をしている

こういうのはいい

この世の中に小さく光る幸福だ


永遠であれ

永遠であれ

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