ナミコシ古書堂の怪書碌
壱闇 噤
『夢』
「『ある時、
哀しくて、淋しくて…そして何よりも愛おしくて。
手の内にあるほんをぱたりと閉じる。この本の終わりはその言葉で締めくくられていたからだ。
その音に気付いた
「読み終わった、の?」
「あぁ、つい今しがたな。
「ぼくはこれから。お客が来るまで読むつもり〜」
「…そうか。……
「ううん。否定も肯定も、しないかな。ぼくは『
「そうか…」
作者、執筆時代、その他全て不明。あるのは本の内容。ただそれだけだ。
『
「『
「……確かに、それは変わらないが…」
「ならそれで良いんじゃないかなぁ? 『
そう言い切って
「…………そう、だな……。『
それに疑問を抱いたのか、
「お客さん?」
「いや……少し、頭を冷まそうかと思ってな」
「じゃあプリンとか食べたいなぁ〜?」
「作んのと買うのと、どっちが良いんだ?」
俺は答えの分かりきった質問を返す。その質問に
「もちろん手作りで!」
「……はいよ」
いつもながらの答えにはぁ…ッとため息を吐き、少し長い前髪を掻き上げつつ台所に向かう。
そしてまた──…
いつもの日常が終わりを告げる…。
変わりのない一日に俺は眠るように
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