nutty nougat candy(お砂糖ちゃん)

立ち上がろうとしたナイトメアの肩を、Doomは掴んだ。

「わあお! 大胆! なにがかわかんないけど」

「…………ずっと、ここにいるのか?」

「ん? ええ、そうよ。もうずっと。寂しくないわ。ナイトがいるもの」

ナイトメアは微笑み、首を傾けた。Doomは首を振った。

「『今まで』の話じゃない。『これから』だ。……地上に、あんたを心配している人がいる。一度でいい。船を降りて、地上に戻らないか。ずっと、誰とも会わず、こんなところにいるつもりなのか」

「私の船を指して『こんなところ』とはとんだご挨拶ね! それとも宇宙の事かしら? ああ、もちろんレトリックだってわかってるわ、船主の前で船を貶める人間なんているわけないものね」

ナイトメアはにっかと笑って、今度こそ立ち上がった。ふっくらとした唇がDoomの耳に寄せられる。

「……でもね、ナイトをひとりにできないわ。また来てちょうだい。あなたの持ってきたケーキ、美味しかった」

Doomが耳を押さえて振り向くと、ナイトメアはいなかった。見回すと、離れた扉の影から覗き込んでいた彼女は笑い声を上げた。

「アハハ、じゃーね、デスデコラくん!」

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