ny-lon(お洒落)
「久しぶり! 来てくれたんだね! キミの名前なんだっけ! あっ不吉な名前の、そう! えーと、D、D、D……デスデコラくん!」
「『Doom』だ! 誰だよデスデコラって」
「アハハ、元気してた?」
「前も思ったけど美味しいわね、コレ! どこで買ったの? って聞いても私行けないんだった! アハハ、私、船から降りられないのよ、ナイトロ・ナイトメアを地上に下ろすわけにはいかないし」
あれこれと思いついたことを矢継ぎ早に口に出していくナイトメアをDoomは、喧しい人間だな、と思った。Doomはそこでふと、『船から降りられない』といった意味について考えた。
「食料とか、暖房とかどうしてるんだ? 補給しなくちゃならないだろう?」
「ん? ああ、燃料から水が生成できるから、保存食を戻して食べてるわ。エンジンも今は一機しかつけてないし、この塩梅ならあと十年は持つわね。暖房はウラン、いや、プルトニウムだったかな? 崩壊の時に出る熱を利用しているわ。燃料の補充が要らなくて経済的」
「うげ、なんて船だ。正気か? 帰っていいか? 俺が飛べなくなったら、ナイトメア、あんたのせいだからな!」
帽子を目深にかぶり、落ち着かない様子でDoomは言った。
「大丈夫よ。ガイガーカウンターつけてるもの。密封処理も……」
ナイトメアを遮るように、けたたましいアラートが鳴った。Doomは血の気の引いた顔で自分自身の両肩を掴んだ。バッジが擦れ、チャリチャリと鳴った。走り出そうとしたDoomの腕を、ナイトメアは座ったまま掴んだ。
「離せ! 俺は帰る! こんなところにいられない!」
「安心して頂戴、これは私の目覚ましの音だわ」
ナイトメアが手を振ると、アラートは止まった。Doomは苦い顔をした。
「紛らわしい……!! 目覚ましなら起きたとき切ってくれ!!」
「ごめんなさいね。しかし変ねえ、いつもこの時間には鳴らないの……なにかのエラーかしら? 時計が狂ってるとなると厄介ね。引き留めておいてなんだけど今日はおいとましてもらおうかしら」
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